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第18話 宣戦布告ですわ

「そいつは聞き逃せねえ言葉だな」


 ツララのトウカに対する宣戦布告に、待ったをかけたのはアンジュだ。

 彼女は一歩前に出て告げる。


「トウカはあたしと戦うって約束してるんだ。悪いがそれは叶わない」

「アナタがアンジュさんね。前回イベントでの順位は6位だったかしら。アナタにももちろん負けないわよ」

「は! 望むところだ」


 一触即発の空気に、険しい顔の男たちがこっそりと唾を飲んだ。


(ツララさん、噂通りの性格ですね……)

(彼女にはどんな装備が似合うだろう……銀髪が映える黒系か? 水色とかも良いな……)

(水着のトウカちゃんが近いッ……!)


 なんだか馬鹿な気配を背後に感じながら、アンジュはツララに向かって「それに」と指を差す。


「あんたには前のイベントで『大跳躍』を取られた仕返しもしたいしな」


 にやりと笑うアンジュに、ツララもまた笑って言葉を返す。


「ふふ、面白いわね。でも、その装備では説得力がないのではないかしら?」


 ツララの冷ややかな視線に、フリフリ水着のアンジュは顔を赤くして身体を隠す。


「こ、これは違う! ちょっと待ってろ! 今いつもの装備に着替えて……」

「いいえ! その必要はありません」


 次に前に出たのはトウカだ。彼女は胸を張って言葉を続ける。


「なぜなら、これもマスターさんが作って下さった立派な装備なのですから! レアスキル『水攻撃耐性・極』もついていますの!」


 彼女の言葉に、マスターは感激の表情でうなずく。

 トウカは話を続けた。

 

「先ほどのお言葉からして、どうやら私の動画を見て頂いているご様子……まずはそれについて、ありがとうございます」


 軽くお辞儀をしたそのとき、海から人間よりひと回り大きい影が水音を立てて現れた。

 トウカが今回狩りに来た人喰いヒトデだ。


「ッ!」


 誰かが声を上げるよりも速くヒトデの目の前にはトウカが立っていた。

 いつメニューを開いたのか、その手には今までなかった剣が握られている。

 ヒトデは攻撃の姿勢に移る間もなく身体の中心を一突きされて、光の塵になった。


「素晴らしい速度ね。さすが、デュークドラゴン相手に無傷で勝利しただけのことはあるわ」

「無傷ではありません。不屈のスキル……頂いた装備がなければ一撃でゲームオーバーでしたわ」


 人喰いヒトデからドロップアイテムを回収し、ツララの方へ振り向く。


「お話の続きです。宣戦布告、お受けしました。あなたもアンジュさんも、私が倒しますの」


 トッププレイヤーを前にしたトウカは、デュークドラゴンを前にした時と同じ、不敵な笑みを浮かべた。


「そしてその暁には、ツララさんも一緒に楽しく遊んで頂きますわ!」


「……は?」


 ツララは一瞬固まった後、クールな表情を歪めて眉を吊り上げた。


「ええ、そうよね。()()()がそういう人だって忘れてたわ……」


 腕を組んで仁王立ちし、トウカをまっすぐ睨みつける。


「いいわ。アナタが私に勝てばなんでもしてあげる。世界の終わり(ワールドエンド)が楽しみね」

「はい! ()()()()()()()楽しみです!」



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