第14話 イベントのお知らせですわ
トウカがギルドの仲間になって一週間が経った。
皆のアドバイスを受けながら撮影、投稿した次の動画も新たにも順調に再生されている。
「どうも動画サイト、SNSの双方でインフルエンサーに気に入られたみたいですね。運がいいです」
ランヴァルはウインドウで運営からのお知らせを読みながらそう言った。
「はい。ですがまだまだこれからです。この調子で、もっと多くの人にAAOを知って頂けるようにしなけばいけませんわ」
「そんなトウカさんにうってつけのニュースがありますよ」
ランヴァルが机の上に表示したウインドウをメンバー全員でのぞき込む。
運営からのお知らせが、次のように始まっていた。
【イベント<World End Battle Royal> 開催のお知らせ】
「わーるどえんど……?」
「いよいよサービス終了か?」
「え、縁起でもないですわ! まだ大丈夫のはずです!」
アンジュの冗談に顔を青くするトウカに、お知らせの続きを読んだランヴァルが説明する。
「『世界を終わらせるほどの大激突』ってイメージのイベント名みたいです。心配ありませんよ」
「サバイバル系のイベントだな?」
「はい。参加登録したプレイヤーは隔離されたフィールドで戦い、生き残ったプレイヤーが勝ちというものです」
さらにスクロールし、バサラが目を輝かせる。
「優勝者は記念の限定装備と……新規実装されるスキルを先行取得、か!」
「PvPイベントだし、戦闘系の強スキルだろうな。あたしはどうせなら『大跳躍』とか欲しかったが」
「は? おいおいアンジュ、バトロワ報酬スキルなら圧倒的に『飛燕斬撃』だろ。斬撃を飛ばせるんだぞ? 大跳躍なんて移動するだけじゃねえか」
「あ? 飛燕なんて武器投げるのと大して変わんねえだろ。大跳躍は本人の強化だから圧倒的に汎用性が高いじゃねえか」
「は?」
「あ?」
「ア、アンジュさんバサラさん、落ち着いてください……」
「また始まった……」
脱線して喧嘩し始めた2人からトウカとマスターを連れて離れ、ランヴァルは話を続けた。
「フィールドには先に参加登録したプレイヤーしか入れませんし、途中参加も外との情報交換もできませんから、トウカさん目当てのプレイヤーが殺到するようなことはありません」
「しかも後まで残れば、トウカさんの強さを見せることもできて宣伝にもなるってことだね」
「どうです? 注目されるいいチャンスだと思いませんか?」
「もちろんです! AAOを遊ぶみなさんで参加できるイベント……楽しみですわ!」
「そうこなくっちゃな」
『スキル談議』が終わったのか、腹からダメージエフェクトを出しているバサラを背にしたアンジュが凶悪に笑う。
「このイベントは個人で戦うPvPだ。当然、あたしも参加する」
黒い騎士の瞳はトウカにこう告げていた。
あたしと勝負しようぜ。
「言っただろ? 活躍を見せてやるって」
アンジュは闘志に満ちた狼のように告げた。
「最後に生き残るのはあたしだ」
「むっ! 私も負けませんわ!」
ざっとですが結構先まで書けたので、平日も複数話投稿していけそうです。




