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第11話 動画投稿ですわ

「ふぅ……」


 現実世界、自室のベッドの上で園城寺燈火はヘッドギアを外した。

 ずっといたはずの自分の部屋なのに、なんだか随分と久しぶりに感じる。


 あれから、なんでそんな動きができるのかと質問攻めにあった。理由を話すわけにもいかず、「勘ですわ」と誤魔化したら、「まあトウカだしな……」と納得されてしまい、それはそれで複雑な気分のお嬢様であった。

 ギルドに戻るとマスターとバサラがなぜか親指を立てて「ありがとう」といってきたが、トウカとしては首をかしげるしか無かった。

 その後、また遊ぶ約束をして、トウカはログアウトした。

 少しだけ冒険の余韻に浸った後、自身の頭をトウカから()()に切り替え、自分のパソコンの前に座った。父が誕生日に買ってくれた、ゲーマーが涎を垂らすようなハイスペックPCだ。


「ここからが大切ですわ……」


 アンジュたちとのゲームが楽しくてうっかり忘れかけもしたが、燈火はAAOを盛り上げるという使命を自分に課している。VRゲームも初めてだが、動画投稿も初めてだ。

 こちらはどう調べたものかと思いながら持て余し気味のパソコンを起動すると、父からのメッセージが届いていた。


『うちのゲームのためにありがとう。動画の投稿はこれを参考にしてくれ』


 メッセージには、まるでプレゼン資料のようにまとめられた『動画投稿のしかた』ファイルが添付されていた。

 燈火は父の彼らしい気遣いに、くすりと微笑む。


「では、動画を投稿してみましょう!」


 雪夫の資料もあり、動画サイトのアカウント作成やアップロードは想像よりも簡単に終わった。


「…………むぅ」


 アバターとはいえ、自分のはしゃぐ姿が世界に発信されるのはなんだかむずがゆい。

 時計を見ると、丁度日付が変わったところだった。燈火がこの時間まで起きていることはあまりない。


「まあ、こんなに遅くまでゲームとパソコンをしてしまいましたわ」


 初めて友人の家にお泊りをしたときのように、不思議な高揚感を感じた。


「ふふ、お母様に叱られてしまいます」


 シャワーを浴びてからパジャマに着替えて、今度は眠るためにベッドに転がった。

 毛布をかぶり、AAOでの出来事を思い出す。


「……アンジュさん、マスター、バサラさん、ランヴァルさん」

(早く、またお会いしたいですわ)


 今度はどんな冒険をするのだろうと考える燈火は遠足の前の子どもみたいにドキドキして、なかなか眠れなかった。



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