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手紙の真相

ブクマ登録ありがとうございます!

異世界人だとバレてしまった…。もう開き直るしかないんだけどね。もうコレさ、思い切ってエイシュリット王太子殿下に


「元異世界人ですけど、それが何か?この世界の常識?何それ美味しいの?」


で押し通して聞きにくいことを全部聞いてしまおうと思う。まずは


質問その1:運命の相手、今カノって誰ですか?

質問その2:ガンデンタッテ王国の魔術師の正体、気になりますか?

質問その3:ぶっちゃけ婚姻して私との体の関係はありですか?なしですか?


……その3は直接的過ぎるかな?でも時間が経てば経つほど聞きにくくなりそうだし、聞くなら今しかない気もするし…


コンコン…


扉がノックされて扉の向こうにはエイシュリット殿下の魔力の気配があった。夜に話がある…と言ってエイシュリット殿下を呼び出していたのだ。もう逃げられない、かかってこいやーー!


人払いをして消音魔法をかけて、ソファに対面に座ってエイシュリット殿下を見る。


夜に見てもさ~アイドルはアイドルだよなっ。自然発光してるしなっ裏山っ!


「お呼び立てして申し訳ありません」


「いや…こちらこそ、え…とお話しておきたいことが…」


ピクンと体が動いた。お話?何だろうか?もしかして金のアイドル御自ら告白してくれるのかな?


「実はフォーデと私は愛し合っているんだっ!」


やべぇ!金と銀のアイドルがぁぁ!?………そうじゃないよね?はい、失礼しました。腐った森へお帰り……


「……」


暫くモジモジしていた金のアイドルは大きく深呼吸をすると、いきなり私の前で騎士の礼をした。


なんだなんだなんだ!?


「実はアイリエッタ王女殿下に嘘をついておりました!」


「やっばっ…やっぱ金と銀でぇ…!」


「え?」


「失礼しました…煩悩は腐の森に投げつけておきますので、続きをどうぞ…」


エイシュリット殿下は一度私を見てから更に、頭を深く下げられた。それを見た私は仰天して同じく床に膝を突いて殿下と目線を合わせた。


「殿下いけませんっ!王太子殿下たるもの、膝を折った上に首を垂れるなんて…人払いをしているとはいえ、誰に見られるか…」


「姫…アイリエッタ」


「…っはい!」


「私は貴女を謀ったのだ。あのお渡しした『手紙』の内容は全て虚偽だ。私に運命の相手は存在しない」


「……え?」


まさかの告白だった。頭がついていかない。殿下の言葉を理解するまで少し時間がかかった。


「う…そなの?」


「ああ」


「好きな人いるって…」


「あの手紙は虚偽だが…今は好きな人は……いる」


またまた、衝撃だ。手紙は嘘だけど好きな人はいる?え?どういう…真剣な表情のエイシュリット殿下と目が合う。綺麗な本当に綺麗な群青色の紫がかった青色の瞳が…殿下の魔質と共に私に向けられている。


こんなの嘘だ…この魔質は…絶対嘘だ、嘘だぁ!?


言葉より行動より魔質が全てを語っていた。涙が溢れてきた。目の前のアイドルの顔がぼやける。


「私の好きな人は貴女だ、アイリエッタ…」


殿下に手を握られた。手を伝って殿下の魔質がよりはっきりと感じ取れる。でも、でも…!


「わた…嘘…う…うっ…」


「悪かった…」


「てっ……ううぅ…」


エイシュリット殿下が包み込むように優しく抱き締めてくれた。温かい魔質…涙が止まらない。嘘をつかれていた事。殿下には運命の相手の令嬢なんていなかった事。それなのに私を好きだと告白した事。


殿下の魔質は全てそれが真実だと告げていた。


私は殿下の腕の中で泣いた。びっくりしたのと騙されていて悔しかったのと、怒っているのと…恥ずかしい事と…色々とごちゃ混ぜで泣けて仕方なかった。


暫くグズグズと泣いていたら、いつの間にか殿下に横抱きにされてふたりでソファに座っていることに気が付いた。しっかりがっつり殿下のお膝の上に座っておりまする。涙は大分出なくなってきている私の瞼に殿下が優しく口づけしてくれているのが


とんでもなく恥ずかしい!死ねるっ!穴ぁ穴ぁ…潜れる穴が欲しい…


「ちゅ…」


音をたてて瞼から鼻頭…頬…ゆっくりとだが確実に…殿下の唇が私の唇へと移動して来ている!どうしよう!?


怖いかと聞かれたら…正直怖い。初めてのキスだ…今だって頬に男の子が触れたのも異世界を入れても初めてのことだ。


殿下にその3の事を聞こうとしていたが、よくよく考えたらコレの延長線上にアレがある訳で…そんな話を素面で聞いてしまおうとしたなんてっ今の私なら憤死する。マジで…これ。


しかしだね、口付けを受けながら…段々と段々と、再び怒りがこみ上げてきた。そうだよ、そもそも何でその手紙を私に渡してんだよ、ごるぁ!


「殿下…手紙の話をしてもいいですか?」


明らかにエイシュリット殿下の顔色が変わった。暫く無言で見詰め合った…


急に殿下は私を抱えたまま、隣の部屋(王太子殿下の部屋)へ駈け込んだ!私をソファに座らせると、すぐに何か大きなパネル?を抱えて戻って来た。あ、あれ額縁?かな。


「まずは…これを見て欲しい」


ひっくり返されていた絵…姿絵が私の方へ向けられた。


女の人の肖像画だ…え~と、かなりふくよな女性だ。目鼻立ちは太っているから全体的に横に広がっている気がする。


「はい…見ましたけど、この方が何か?」


エイシュリット殿下は再び絵をひっくり返すと、絵の裏側を私の方に向けて近付けてきた。


「ここを見てくれ」


殿下が指差す所の裏側の右下の辺りに字…サイン?が書いてある。読んでみる……ん?


「アイリエッタ=ガンデンタッテ王女殿下 肖像……アイリエッタァ?これ私なの?」


もう一度、表にひっくり返して私の姿らしい肖像画を見る。


ふくよかだ…言い方を変えればとんでもねーおデブさんだ。しかも顔もとんでもなく不細工になっている。え?これが私…?私、自分で言うのもおかしいけど、外見ここまでブサイクじゃないよね?もうちょいマシだよね?


「これは婚姻の打診をガンデンタッテ王国に送った時にガンデンタッテ王国からアイリエッタ王女殿下の姿絵だとして送られてきたものだ」


うそーーーっ!?実家から、これがアイリエッタでーすって、つまりはお見合い写真みたいに渡されたってことだよね?私コレ?


も…もしかしてさ、人には私の姿ってこんな風に見えてるの?


はっ!?そうだっ!


こういう病気、医療ドラマで見たことあるよ!脳の病気で目で見た物が正確に脳に届かなくて違う顔に見える病気、そう病気の名前は分からないけど、あれだよあれ…もしかして私、その脳の病気なの?


「もしかして、私こんなにおデブなの?」


「ち、ちがーう!アイリエッタは花のように蝶のように可憐で世界一綺麗な私の姫君だぁぁぁ!」


ぶつけてくる魔圧が怖いうえに、発言が一々痛いしキモい。アイドルをキモいと思う日が来るなんて…


「これはガンデンタッテ王国がワザと醜悪な姿絵を送り付けて、私の姫への執着を消してしまおうとした大がかりな陰謀だったんだ」


「陰謀…」


「そうだっ!危うくその陰謀に引っ掛かってしまいそうになり、まだ見ぬアイリエッタに偽の手紙を書き連ねて…私の方から婚姻の申し出を撤回させようという策略にまんまと乗せられ…」


「策略…」


「そうだっ!そうしてその策略に乗せられ手紙を書き…闇夜に姫の寝所に忍び込むという悪行に及んでしまったという訳だ!」


「悪行…」


「そうだっ!その時にまさに運命の相手…アイリエッタ貴女に出会い、私は恋に落ちたっ!闇夜に舞い降りた女神っ私のすべてっ!」


エイシュリット王太子殿下はその不細工な姿絵を遠くに放り投げて、私の手を取った。


キラキラアイドルだけどさ……正直キモいわ。


「つまりは…絵を見て不細工だから、お前なんて好きになれんわ!と言って私を怒らせて私から断って欲しくてあんなことしたってことですね?」


キラキラアイドルは、ヒュッ…と息を飲んだ後小さい声で


「……………はぃ……」


と答えた。


う~ん、確かにさ~綺麗ごとを言うなら、姿絵が不細工だからって見た目だけ断るなんて酷いよ!と、言いたいところだけど…お見合い写真でアレを見せられたら誰だって断るよなぁ…


特に一般人のお見合いじゃなく国同士の云わば、政略結婚だもんね。断るにも電話一本で、婚姻止めますわ!とはいかないしね。腹は立つけど、もし私がエイシュリット王太子殿下の立場だったら、ソッコー断ってるわ。


私だってエイシュリット王太子殿下の姿絵を見て、キラキラアイドルだ☆彡と喜んでいたもんな…殿下を責めることは出来ない。


見た目も重要!綺麗ごとは言わないぜ。ただ、殿下のやり方はセコいけど…因みに実家のやり方もセコいけど…


「はぁ…」


私が溜め息をつくと、エイシュリット王太子殿下は体を強張らせた。


「あの姿絵は酷いですよね…」


「そ…そうだなっ!アイリエッタの真実の可愛い姿が全く描き切れていない」


「因みに、私の方に届いた姿絵のエイシュリット王太子殿下は大層、格好良かったのですよ?」


「!」


エイシュリット殿下は耳を赤くした。ウフフ…スルッと殿下に近付いてみる。


「そして実物のエイシュリット殿下は姿絵の何倍も格好良かったですわよ?」


耳を真っ赤にしたままエイシュリット殿下が私を抱き締めて、顔を近付けてきた。


「で・も・!あのお手紙のやり方は酷いですわ…私、怒ってます」


そう言って、立ち上がると素早く殿下の部屋から廊下に出ると、王太子妃の部屋に戻った。


そう…私はやっぱり怒っているのだ。


その日の深夜…


クソウゼー殿下の部屋から悲しみと悲哀の魔力がジメジメと垂れ流されているのに気が付いた。当然、夜番の近衛のお兄様やメイドがその魔力に気が付いて、廊下の向こうでソワソワしているのも感じられた。


クソウゼーIT(ソレ)のすすり泣きの幻聴まで聞こえるような気がして思わず扉を開けて


「魔力を引っ込めろ!」


と怒鳴ってから寝た。元異世界人と知られたからには王太子殿下だからだって遠慮はしないよ?


翌日、一晩寝たら冷静になれた。どうせ夫婦になるのだ、軽い接触如きで狼狽える必要はないっ!と言う結論に落ち着いた。よし…落ち着け私っ!


王太子妃の勉強とダンスの練習の後、部屋に戻り…白身魚フライの下ごしらえをしていると、銀のアイドル…フォーデ様が部屋を訪ねて来た。


「鬱陶しい魔力を垂れ流されて迷惑です」


「はぁ?」


「早く何とかしてください」


「え?」


「アイリエッタ王女殿下に思いを寄せる…アレですよ」


アレ呼ばわりされた、私にソレと言われている王太子殿下のことか…そう言えば昨日ワチャワチャして忘れていたけど、質問その1の解答は受けたけど…その2とその3は聞いてないよね?


今後の為にも聞いておくか。


私はフォーデ様に頷いて見せた。


「分かりました、後ほどお伺いします」


「頼みますよ…っ全く」


銀のアイドルはこの王宮で一番偉い人…なのか?そうなのかも…影の支配者だ。


私は城の調理場で頂いてきたロールパンとコッペパンに白身魚フライと唐揚げ…そしてジャムバターを挟んだ調理パンを作って、差し入れを持ってエイシュリット殿下の仕事場(執務室)にお邪魔することにした。


今日はジメジメした魔力を垂れ流しながら、執務室で事務仕事をしているらしい王太子殿下に会う為に…。


執務室の前室、異世界で言うところの秘書室みたいな所にいるアリウム様と小柄で優しそうな男性…クリフカさんにご挨拶をしてから執務室の中へ案内してもらった。


「お仕事中、失礼致します」


エイシュリット殿下は、私を見るとパアッ…と笑顔を見せた。分かりやすい…


「アイリエッタ…」


「殿下、一旦休憩に致しません?お茶にしましょう」


私の笑顔を見て、嬉しそうに近づいて来る大きな金のアイドル…ちょろい…


私の作ってきた調理パンを見て頬を染める殿下を見て、私は少し安心した。


エイシュリット殿下は変に意地を張ったり、機嫌が悪ければ私に当たるような我儘な方ではないみたいだ。


そりゃそうか…エイシュリット殿下を筆頭に国王陛下ご夫妻もお優しいし、王宮で働いているメイドや近衛…侍従や役人のおじ様…皆、優しい人ばかりだ。この環境で育ってて、性格が歪むなんてまず無いだろう。


まあ、銀のアイドルみたいに別方向の当りの強い?人はいるけれど、私が異世界人だからとか他国の姫だからとか、そういう意味での特別視はしてないみたい。


さて、調理パンを食べながらではあるが、ズバッと聞いてしまおう


まずは質問その2


「殿下」


「ん?」


「ガンデンタッテ王国の魔術師…の話は今どうなっているのですか?」


「あ…今は魔術師の方が他国に出ていて、交渉はご自由にとか訳の分からない返答を頂いているんだけど…困ったな~アイリエッタは本当にその術師を知らないんだよな?」


「え~と私です」


エイシュリット殿下はジャムパンを口の中で咀嚼しながら、キョトンとしている。


「魔術師は私です」


ゆっくりと手を挙げた。エイシュリット殿下はジャムパンの最後の塊を口に入れたまま


「ア…ウムッ!ゲホゴホッ…!」


盛大にむせていた。慌てて殿下の横に移動して殿下の背中をさする。


「す…すまんっ…ゴホッ。アイリエッタが!?本当何だな?」


わたしが頷くと、殿下はアリウム様とフォーデ様とクリフカさんを呼んだ。皆様に戦場での魔物理防御の話しをした。


「あ~そう言えば庭で魔術の檻に入れら…ゲホゴホ…以前のぉま、魔術障壁も素晴らしいものだった!最初見た時はその例の魔術師の魔法陣を使っているのだと勝手に思い込んでいたのだが、ご自身だったとは…」


エイシュリット殿下はキラキラと魔質を輝かせながら、私を見詰めた。しかし目が泳いでいる。以前ガンデンタッテ王国の庭に侵入して魔術檻に捕まってしまったのはもしかして皆に内緒なのか?


「では、来るべき公爵家の処遇発表の時に武力衝突が生じた場合は、鎮圧に術師として戦闘にご参加下さいますか?」


フォーデ様に聞かれて「あ、はい。それはもち…」と言いかけた時にエイシュリット殿下が鋭く制した。


「それは駄目だっ!アイリエッタには危険すぎる!」


そんなこと言ったらさ~クラバッハの国境演習に私6才の頃から計3回参加しているんだけど~?


「何を言っているんだ?島族の術師の放った風魔法をかわし損ねて、怪我したお前より、アイリエッタ王女殿下の方が身を守る(すべ)を心得ておられるよ」


またなぁにぃ?みたいな顔をしてフォーデ様が嫌味たらしくそう言うと、エイシュリット殿下はそんなフォーデ様を睨んだ。


「何で知っているフォーデ…あっ!アリウムッ…お前だな!」


「全て真実だ…」


アリウム様が静かにそう答えたが、殿下は叫んだ。


「駄目だと言ったらっだ…」


「私、どんな攻撃も受けつけませんのでっ守りは是非お任せを!」


私はウダウダ言う、殿下の言葉を遮ってフォーデ様に大きく頷いて見せた。


「分かりました。お任せします」


「!」


「はいっ頑張ります!」


「アイリエッタァァ!?」


話は済んだとばかりに皆様は執務室を出て行かれた。しかし一歩出遅れた私は、ウザく叫ぶ王子と二人っきりになってしまっていた。


ひじょーに嫌な予感がしたので、私は急いで空になった籐籠を持って執務室を出ようとした。しかし、金のアイドルにタックルされた!


「アイリエッタァァァ…」


ちょおい!何故足に縋り付くんだ!?つーか金のアイドルと私とじゃ完全に力負けしてしまうじゃないかぁ!何とか、タックルの衝撃に耐えながら、足を踏ん張るがIT(ソレ)が腰を掴んできた。


「おぉい!銀っ!?黒っ…」


執務室の外へ助けを求めたが無視される。ぐぬぬっ…


「アイリエッタァァァ……」


どんなホラーだよっ!排水溝に引きずり込まれそうだよ!くそっ…


「もうっ!戦闘中は無茶なことはしませんから、障壁を張るお手伝いをさせて下さいっ!私だってケイトリーサ様に不敬な発言されて頭に来ているんですよ?」


エイシュリット殿下は縋り付くのを止めてソファに座り直した。私はもう一度、殿下の対面に座った。


「いいですか、殿下?あの庭で殿下を閉じ込めました魔術の檻、出来栄えはいかがでしたか?」


「…す、素晴らしい魔術の檻だった。私の魔圧をぶつけてもビクともしなかった」


「ありがとうございます。その素晴らしい檻を作れる術師の私が、いつどこで危険な目に会うのですか?」


「危険性は…低い…と思う」


「そうでございましょう?おまけに先程、風魔法で怪我…とフォーデ様が仰っていた怪我って先日の肩の打撲のことですか?」


「そーです…」


「では私と一緒に障壁の中にいる方が怪我もしませんし、寧ろ安全ですよね?」


エイシュリット殿下はカッ…と魔力を上げた。


「それは!?余りにも私が格好がわる……ぃ………すまん」


私もフォーデ様ばりの変顔で殿下を見てあげた。ええ、見てあげましたよ。


「風魔法で打撲になったのはどなたですか?」


「……私です」


私の完全勝利だった…いや、いつの間に勝負事になっていたのだろう?すっかり打ちひしがれてしょんぼりする金のアイドル。


そうだ…この勢いで質問その3を聞いてしまおう。


「ところで殿下、お話は変わりますが…コホン、私と婚姻を終えてからはお体の接触は有りですか?無しですか?」


エイシュリット殿下はポカンとした。ポカッとした顔も綺麗だねぇ。


「オカラダノセッショク…」


「はい、え~と言い替えるなら…御子が出来るような行為をしますか?しませんか?」


「…!」


エイシュリット殿下はまた白目を剥いているのか…ソファに真横に倒れた。もうこの失神?も慣れっこなので慌てず騒がず、倒れた殿下のお傍に近付く。


そして倒れた殿下に触れようとしたら


「ソレに触るなよ」


と言ってフォーデ様が執務室に入って来た。あれフォーデ様も王太子殿下をIT(ソレ)扱い?


「今は触れてやるな…いっぱいいっぱいのイシュの代わりに俺が答えておいてあげるよ。『勿論、有りでお願いします』」


「あ…はぁ…はい」


流石に、真顔の銀のアイドルに下ネタ?の受け答えは恥ずかしく思えてきた。え?エイシュリット殿下には良いのか?という声が聞こえそうだけど


だってIT(ソレ)にはもう散々やらかしているから、一晩経ったら今更恥ずかしいとかと言うものは無いね!


「ん~では!殿下宜しくお願いしますね!」


触るのが駄目ならばお声がけくらいはいいかと思って、フォーデ様に支えられて起き上がった殿下にそう声をかけると、殿下はまたひっくり返った。


しかも今度はソファの背凭れの方へ顔を向けて背を丸めちゃったので私の方からは丸まった背中しか見えない。何だかビクビク震えていない?発作?大丈夫かな…


「…ふぅ…アイリエッタ姫?」


フォーデ様はそう言って髪を掻き上げた。キラキラ…銀糸がフワフワしているみたいな髪色ですね。素敵!


「こちらで処理しておきますので、姫は余計な事を言わないように」


「…!」


何だか怒られたっぽい…怖かった。銀のアイドルを褒めた私の気持ちを返して欲しいょ。やっぱり銀のアイドルは王宮の支配者だと改めて思った。


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