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二限目
六月二十六日、曇り。
来週からはテストだ。先週は雨で人が少なかった教室も、一限からある程度ざわついていた。雨とテストは、大学生のモチベーションにとんでもない影響を与える。
先週のあれ以来、女の子と話した記憶がない。何となく講義を聞きながら気になって探してみると、その子は教室の窓際中ほどに友達と座っていた。
その友達は、長い茶髪が綺麗で、その子に比べると化粧も薄く割と落ち着いた印象だった。
こっちに気づく様子はない。そりゃそうだ。名前も知らないし、ただノートを見せただけなのだから。
講義が終わると、その子は友達と談笑しながら教室を出て行った。
ここまで女の子と関わりがないと、たった一度話しただけの子でも気になるのが、陰キャの性分である。出て行く様子を何気なく目で追っていたが、ストーカーみたいなのでやめた。