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一限目

六月十九日。また雨。

今日は雨のせいか、一限目の教室はいつもよりがらんとしていた。教授の声がいつも以上に響く。

一応僕は毎回出席しているから、成績はいい。

この日も、人数が少ない以外は何事もなく講義は終わった。

二限目に行こうと席を立ったとき、急に後ろから声をかけられた。

「あの、すいません」

割と派手めでかわいい女の子が、わざとらしい困り顔を浮かべて立っていた。濃い目の化粧に明るい茶色でセミロングの髪、キラキラしたピアス、服も名前がよく分からないが大学生がよく着てそうなフリフリピンクのおしゃれなやつだった。

僕はコミュ障丸出しで、やっと返事を絞り出す。

「ああ、はい」

「この授業って毎回出てますか?ノート撮らせて欲しいんですけど…」

「あ、はい、いいですよ」

テストが近くなるとよくあることだ。断るのもめんどくさいので素直にノートを見せてあげた。

その子はにこやかにお礼を言って、去って行った。

ノートを見せてもらうだけのことで、あれだけの表情と声の抑揚を引き出せるのを、素直に尊敬した。僕にはできない。

確かにかわいい子だったが、意識してしまってドキドキしたりすることはなかった。これは強がりでも何でもなく、二十年間ただの一人も彼女ができないでいると、そういった感情が抹消されていくのだ。我ながら、このまま魔法使いは確実だと自負している。

僕は、陽キャならあの流れでラインを聞いたりするのかなとかくだらないことを考えながら、二限目に向かった。

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