30話!
「セレンでも会ってた?」
僕はそう言ったネピアに顔を向ける。
「うん……路地裏で会ってた」
「それはわかる、でもこんな所までどうして、距離が離れてる」
「でも、確かに」
僕はもう一度、セルカがいた方に視線を送った。でもすでにそこには誰もいない。
「あれ……もういない」
もしかして疲れて幻覚を見たかな。でも信じられない。現実感が確かにあった。
「少し歩いてみよう」
僕はネピアを連れて辺りを歩き回った。
宿の部屋で僕は朝を迎えた。昨日の夜、セルカを探して宿街を歩き回り、結局何も見つけられず、部屋に戻ってきて寝たのだ。そういう時でも普通に眠くなって、普通に寝つけるのが悲しいくらいにすごい。
「はぁ」
「どうした?」
ネピアが心配そうに聞いてくる。僕は少し自己嫌悪でため息をついたのだった。
「ごめん、何でもない」
心配させてしまったのも申し訳なくてより自己嫌悪になる。とにかく、馬車へ行く事にする。
「行こうか」
それだけネピアに言って僕は部屋を出る。それぞれが離れたところの部屋になったから、様子を伺う事も出来ない。様子を伺ったところで何にもならないけど、モヤモヤする。
「ダメだダメだ!」
僕は嫌な感じの表情になっていそうで自分の顔をパンッと叩いた。
「エル、よくわからない事ばっかり」
「ごめん! もう大丈夫!」
心配してもしょうがない。セルカが危ない目に遭ったら助ければいい。ただ誰かと会ってたなら僕が心配するのも筋違い。ただの仲間、友達。そういう関係でしかないんだ。宿屋を出て馬車があるところまで行く間にそう気持ちを切り替えていつも通りの態度になった。
「おう、エル」
「ゴーディル、おはよ」
馬車の周りにはゴーディル達がすでにいた。
「昨日は大丈夫だった?」
「何がだ?」
特に何事もなく、普通にそう返された。昨日と言えば宿屋に泊まらずに野宿したという事があった。本当に何でもない普通の事だったらしい。
「あぁ……いや、何でも」
小さい事は気にしない。大きい器だから、大変な事も小さい事としか思わない。ゴーディルは本当にすごい男だ。こういうカッコイイ男になりたいと思う。
「男に惚れた? 性的に」
「男に惚れた、憧れ的に!」
ネピアの言った言葉へ僕は即座に正しい認識を返す。最近ネピアがこういう変な事を言うようになってきた。何に悪い影響を受けてるんだ。そうしているとセルカたちがやってきた。
「おはよう!」
僕はいつも通りにあいさつをした。
2回目!




