26話!
「まぁそうだけど……魔法って覚えることいっぱいだろ?」
ヴェールが不安そうに言った。魔法は覚える事がいっぱい。確かにそうだ。少なくとも魔法陣を覚えなけらばならない。魔法陣の文字と図形のどの辺がどういう作用があるか。そういうのを理解しないといけない。使いたい魔法によって魔力を流すところが違う。
「アタシ頭悪いからさ」
へへへと自嘲するような笑顔をヴェールが見せる。
「頭悪いってわかってるなら改善できるよ……一番マズイのは自分の事をわかってない人だから」
僕はヴェールをジッと見つめる。自分の思いをしっかり伝えたい。
「それに実際、本当に苦手ならやらなくてもいいと思う……得意な事で苦手な事を覆い隠してしまえるくらい頑張ればさ」
「なら……」
ヴェールの言葉を僕は遮るように言葉を続ける。
「本当に苦手ならね? ヴェールは苦手って確定できるほどやったかな?」
一瞬、表情が明るくなったヴェールは僕の言葉でまた表情が暗くなる。
「やってない……うん、やってないな」
「じゃあやってみないと……もしかしたら、すごい才能があるかも」
ヴェールがコクリと頷いた。それを見たクレブリアが微笑んで僕に向けて頷く。セルカも頷いた。
大人になって……気づいた。僕はずっと引きこもっていた。高校もほとんど行ってない。大学なんてもってのほか。三十を目前にして僕は後悔した。自分は何が得意で何が不得意なのか、全くわからなかったから。でも今さら何もできないとさらに後悔した。それこそ得意不得意がわからなかったからだ。身動きが出来なかったんだ。だいたい大人になって気づく。学校での事がどれだけ人生に不可欠だったか。勉強する事がどれだけ必要だったか。勉強なんて将来の役に立たない。でも将来の役に立つ。全力でやって自分の得意不得意を知るためなんだ。大人になって……気づいた。
「エルさん? どうしました?」
「はっ、つい語ってしまった」
「語る? 無言だったわよ?」
「何でもない、こっちの話」
僕は親指を立ててニカッと笑った。
「変なのだぞ」
「ね……変ですね」
「変よね」
ちょっとグサグサ心に言葉が刺さった。ネピアを見ると親指を立てて、頷いた。お見通しか。僕のこの思いはきっとネピアの見た記憶に含まれている。
「ネピアまで何やってるんだ」
不思議そうにヴェールが言う。するとネピアが「秘密」と人差し指を口の前に持ってきた。
2回目!




