25話!
馬車に揺られてある程度、時間が経った。さすがに話題もなくなってきて各々が呆けていたり、本を読んだりしていた。僕はふとセルカの方を見ると魔力操作の練習をしていた。前に見た時は手に集中させるぐらいしかできていなかったのにもう全身を覆う事ができるようになっている。
「セルカすごいね、もう魔力をそこまでできるように」
「えへへ、頑張りましたもん」
最近、あんまり魔力をまとって戦わないといけない相手に出会っていなかったから、知らなかった。
「まぁでもまだまだですけど」
「そんなことないでしょ、見た感じもう普通に実戦投入して大丈夫なレベル」
「ありがとうございます! 褒められると励みになります」
嬉しそうにセルカがそう言うと「でも」と続けた。
「でもまだまだです、もっと強くなりたい」
真剣な眼差しに前、クレブリアから言われた事を思い出した。セルカは強くなる事に焦っていると。確かにそんな気がする。
「でも普通に強くなったんじゃ、たぶんダメなんですよね、人間離れした技とかスキルとか……まぁそういうのに耐えられるだけの体を作らないとですが」
人間離れ。そういうのを求めすぎるとろくな事にならない。それこそ人間をやめる事になりかねない。それはあまり好ましいと思えなかった。
「アタシも魔力操作できるようになったぞ」
ヴェールが手を上げて、いきなりそう言った。
「スゴイですね!」
パチパチと手を叩きながらセルカが褒める。
「まだ足にしかできないけどな」
立ち上がってヴェールが足に魔力を集中させる。もともとの素早さに魔力が合わさってすごい事になりそうだ。
「ヴェールはまだまだよ」
するとクレブリアがそうヴェールに告げた。
「えー」
「全身魔力を覆えるようになりなさい、欲を言えば体力を魔力で補えるように、ヴェールの場合、それが一番の目標よ、持久力がないと」
「足音させないようにするのが目標って言ってたのにぃ」
「それはある程度、できたでしょ、次よ次」
ヴェールが「充分だよ」と文句を言うけど、クレブリアは受け入れる様子はなさそうだ。
「最終目標は魔法で無音状態を作れるようになる事」
「無音? アタシには魔法使えないよ」
「できないって言ってたらできないですよ」
面白そうに笑いながらセルカが言う。それに同意したクレブリアがさらに言った。
「できないって言った時点で成長は止まるわ、セルカを見習いなさい」
1回目!




