6話!
宿屋に戻ってみても案の定、誰もいなかった。忙しそうにしている宿屋のおばさんをつかまえて聞いてみても「知らないよ」とあしらわれてしまった。仕方なく僕達は宿屋を出る。
「うーんどうしようか」
僕達は宿屋の前で佇む。
「ネピアのテレパシーは?」
「見える範囲いないと無理」
「そっかぁ」
いよいよ困った。少しくらいはどこに行くか聞いとくんだった。
「クレブリアはすぐ見つかりそう」
「うん、本屋とかそういうとこにいそうだよね……セルカが想像つかないんだよね」
僕は適当に歩き始める。セルカが好きな事は強くなる事だろうか。何処かで秘密トレーニング中かな。それだと街中にはいないだろう。ヴェデア草原にはいなかった。あと動きやすい所はどこだろう。
「エル」
考え事にふけりすぎて、ネピアに呼ばれた事に気付かなかった。ネピアは僕の服のスソをつまんで引っ張っていた。
「ごめんごめん……何?」
「今、セルカっぽいのがあの角を曲がっていった」
ネピアが指差した方に十字路がある。
「どっちに曲がったの?」
「左」
僕達は早足で十字路に向かっていって、左を覗き込む。人がある程度歩いていて、視線を流して確認していくと、ある程度進んだ所にセルカっぽい後ろ姿を見止めた。
「あっ……あれそうかも」
白いフレアスカートドレスに黒髪ポニテ、腰に剣をたずさえている。しかしその姿はすぐに右への曲がり道に消えた。
「あぁ……行っちゃった」
「行く」
ネピアがそう言って曲がり道へ向かっていく。僕も同じようにして早足で進んだ。
「裏路地?」
セルカが曲がったのは裏路地だった。建物と建物の間の道。それほど狭くないから普通に明るいけど、どうしてこんな所に。
「とりあえず行こう」
僕とネピアが裏路地へ入っていく。緩やかにカーブしていくその道を進んでいくとセルカの後ろ姿が徐々に見えてくる。僕は少し安心した気持ちで声をあげようとした。でもセルカの姿とともに別の人物の姿も徐々に見えてきて、僕の声は引っ込んでしまう。
「誰?」
セルカと話している人物はフードを目深に被って顔が見えない。どんな服装をしてるかもわからない。それほど体格がいいとは言えず、セルカより少し背が高いけど体の線はセルカと変わらない。僕とほとんど同じ背格好だ。
「セルカ」
僕が声をかけるのをためらっているとネピアが声をあげた。
「あっエルさん、ネピアさん」
振り返って僕達を見たセルカが笑顔でそう言った。
「たまたま姿見て追いかけてきた」
ズカズカとネピアが話を進めていく。フードの人物はセルカに耳打ちする。そして、僕とネピアにそれぞれ会釈してその場を去っていった。
2回目!




