1話!
「さて、これからどうしようか」
僕はみんなの顔を見渡して言う。ヴェデア草原で建国記の話をして、しばらくしてから街へ帰ってきた。
「今から依頼には行けないですね」
もう昼が過ぎてそれなりに経っている。もうすぐ夕方だった。
「今日は休みでいいんじゃないかしら」
みんながそうだねと頷いた。僕はそこで考えてた事を提案してみる。
「ヴェールの装備を見に行こうよ、そこ恰好のままじゃ……あれ?」
僕はヴェールを見つめる。よく見たらいろいろな変化がある気がした。
「髪ってそんな感じだったっけ? それに服も」
ヴェールの髪型がゆるふわツイン三つ編みになっている。クレブリアの髪型に似ていた。もっとくちゃくちゃだった気がしたのに。服も布を体の上と下に巻いているだけだったのが、黒のホットパンツと黒の胸の部分だけのタンクトップに前と変わらずマント姿だ。
「ヨルセダがやってくれたぞ、服もくれるって言ってくれたけど、フリフリのしかなくて断った、それでせめてこれくらいはってホットパンツとタンクトップくれたんだ」
「気づかなかった」
僕がそう言うとセルカとクレブリアがヒソヒソ言い始める。
「やぁね、これだから男は」
「そうですね、鈍感な男は罪ですね」
「褒めたりできないのかしら」
「あぁやだやだ、です」
「ヴェール、その髪型可愛いね」
「へへへ、そうか? ありがと!」
ヴェールが、はにかんでそう言った。僕がセルカとクレブリアをチラリと伺い見ると「まぁよしとします」「そうね」と何とか合格点をもらえたようだ。今度から変化を見逃さないようにしなければ。セルカとクレブリアだったらやばかった。
「さぁ行こうか」
「でもアタシはこのままでも」
「ダメよ」
ヴェールが遠慮してそう言うとクレブリアが否定した。
「ちゃんとカッコイイ格好するのよ、私の助手の義務よ、それにこれからは走ることも多くなるわ、ちゃんとした靴を買わないと」
ヴェールの足元は靴とは言いづらい布の袋のような物を履いている。この状態でしかも魔力も使わず、すごいスピードで走れるんだから、靴をちゃんとして、魔力を使えたら、僕も追いつけなくなるだろう。クレブリアもそれを見越しているのだろう。
「身を守りながら逃げられるように少しは戦い方も覚えてもらうわよ、魔力の使い方も、読み書きも出来なきゃいけないわね、やることはいっぱいあるわ」
ちょっと嬉しそうにクレブリアが指を折りながらいろいろあげていく。ヴェールはちょっと苦笑する顔を僕とセルカにだけ見えるようにした。
連載再開!
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