37話!
「エルさん! 大丈夫ですか?! ってなんで窃盗団の人と仲良くなってるんですか?!」
心配そうな表情で走ってきたセルカの表情が一変して驚いた表情になる。僕とゴーディルは普通に並んで立っていたからだ。
「エルの仲間かい? 男の子はケンカのあとに友情をこしらえるのさ」
そう言ってゴーディルが面白そうに笑うとセルカが意味が分からないという顔になる。その後ろからクレブリアの声が聞こえてきた。
「つまり、男の子はバカって事かしら?」
「ははっ、こりゃ手厳しいお姉さんだ」
「私の方がたぶん年下よ、というか気安くお姉さんとか呼ばないで」
クレブリアが少し嫌悪感の含んだ視線をゴーディルに向けていた。
「手厳しいお姉さんは簡単に許してくれないらしい」
少し控えめに笑うとゴーディルが言った。確かにクレブリアは窃盗団の男に蹴られ、いきなり自分が持っていたものを強奪されたんだ。あまり簡単には許せないのはわかる。
「それで騎士団を呼んで俺たちを捕まえる訳か」
「え? 騎士団?」
「そうよ、もうここは包囲されて、窃盗団はほとんど捕縛されてるわ」
「そんな……聞いてないよ?」
「言ってないもの……足止めするのにエルは顔に出そうだったし」
それを聞いてゴーディルは可笑しそうに笑って、僕の背中をバンバンと叩く。
「意外ね、逃げないのかしら? あなたの強さなら逃げ切れると思うわよ」
まだ少し笑いが糸を引いているゴーディルが言う。
「見くびってもらっちゃ困るね、仲間を置いて逃げるほど堕ちちゃいないさ」
豪快に大見得を切ってゴーディルがポーズをとる。クレブリアがそれを見て呆れたようにため息をついた。
「エル、行くわよ、あとは騎士団に任せればいいわ」
「でも」
僕の中でゴーディルをすでに許してしまっている。そのせいで少し捕縛されるという事が嫌な感じがした。でも窃盗を重ねてきているのは事実だし。ヴェールの様に生きるために仕方なくというのとも少し違う気がする。
「おう! エル、心配してくれるのか、ありがとな」
ゴーディルが右手を僕に差し出してくる。
「友情の証に握手でもどうだ?」
「うん」
僕は差し出された右手を握る。
「反省はしてほしいけど、僕の方でできるだけ穏便にしてもらえるように頼んでみるよ」
「ははっ、そりゃありがたい、借りが出来ちまうな」
「エル! 行くわよ!」
クレブリアが少し怒気の含んだ声をあげた。
「おー怖い怖い、もう行け、悪い友達に構ってると怖いお姉ちゃんに叱られるぞ」
1回目!




