30話!
「ネピアを持ってるヤツが」
「多分アンデット呼び出したヤツだから厄介よ」
戦いが長引くとそれだけ不利になる。しかも相手は厄介な魔法を使える。これは骨がおれそうだ。
「それで、一つみんなに約束してほしい事があるのよ」
改まってクレブリアが言った。
「最優先はネピアの奪還、それ以上は無理そうなら逃げてほしいのよ」
「難しそうですか?」
「分からないわ、敵の強さが未知数だから……私が撤退って言ったら撤退してほしいの、あとからチャンスもあると思うし」
クレブリアがそう言うとセルカも僕も頷いて肯定した。
「ありがとう……あっ、見張りが倒されてるのを発見したわ」
耳をピコピコさせてクレブリアが反応した。いよいよ作戦が本格始動だ。
「じゃあちょっと失礼して」
少し顔を赤らめてクレブリアがテントから顔を少しだけ出した。
「わぉぉぉぉ……」
およそ人間の声には聞こえない遠吠え。これは狼か人狼だと思ってしまう。サッとクレブリアが顔を引っ込めると僕達を見る。
「ちゃんと遠吠えに聞こえたかしら?」
「聞こえたぞ」
最初にヴェールが興奮した様子で言って、僕達がそれに同意する。
「良かったわ……アイツらもそう思ってくれたみたい、混乱してるわ」
慌てている声は僕でも聞き取れた。それぐらいの混乱模様だ。誰かの指示が怒号のように聞こえてくる。何人残って、何人外に行って何とかしろ。そんな風に言っている。
「ちょっと予想がハズレたわ……外へ行く人間がちょっと多い」
「何人くらい?」
「正確なのは分からないわ……残るのが五人から六人くらい」
「そんなに少ないですか」
セルカがなぜか少しガッカリそうに言う。
「もう外に向かっていくヤツらが出ていくわね、残ったヤツらも捜索を始めたわよ」
そう言いながらクレブリアが頭に布をかぶる。そうか、ただの人間として出ていくようだ。賢人狼を知ってるのがいたら外に群れがいないのが予想できてしまうかも、でもただの人間しかいなければさっきの遠吠えは効果を維持できる。
「気合を入れて、そろそろ見つかるわ」
セルカが剣を持つ。鞘をつけたままにしていた。殺さない剣の使い方だった。
「最初に入ってきたヤツに不意打ちくらわせるのよ」
僕とセルカは同時にお互いを見た。僕はセルカに「お願い」と言うとセルカが頷いて見せてくれる。僕は手にサンダーアローをとどめておく。不意打ちして飛び出してネピアを持ってるヤツに不意打ちするつもりだ。テントの外から足音が聞こえてくる。
「いくのよ!」
クレブリアの合図にセルカが剣を引いて突きを繰り出した。
2回目!




