30話!
ゴーディルはニヤリと笑いながら剣を振り下ろした。黒い斬撃が巨大カミツキウサギを飲み込むように前方だけを抉り取る。森の近いが変わってしまうんじゃないかと心配したけど、意外と被害は小さい。だいぶ手加減したのか。
「エル、セルカ、無事かい?」
僕もセルカも巻き込まれてはいない。他の仲間たちも同じように無事なようだ。
「ちゃんと手加減したようね」
クレブリアがそう言いながら僕たち三人の所にやってきた。
「おう、そう言われたからな」
面白そうに笑いながらゴーディルがクレブリアに親指を立てる。いつの間に打ち合わせをしたのかわからないけど、計画通りならいいか。僕たちを通り越してクレブリアが攻撃によって抉れた場所に向かっていく。
「どうしたの?」
「手掛かりが残ったわ」
「手掛かり?」
僕たちはクレブリアのいる所まで駆け寄る。クレブリアは何か白い物体を両手のひらの上に乗せていた。
「え? 何それ」
クレブリアが持っていたそれが僕はなんなのかよくわからなかった。
「ゴーディルが手加減しなかったら消し飛んでいたわ……元のサイズに戻ったカミツキウサギよ」
「え?! 元のサイズ?!」
「その子、巨大化してたんですか?!」
「えぇ、その可能性もあるって言ったじゃない」
確かに誰かに巨大化させられている可能性もあると言っていたけど。
「まぁ成長なら元のサイズに戻るのはあり得ないし、突然変異でもそれは同じ」
「巨大化したって事?」
「えぇしかも突然巨大化するなんて、スキルか魔法じゃなきゃできない、この巨大カミツキウサギが高等魔法使ったかユニークスキルに突然、目覚めたか、あるいは誰かの魔法で巨大化させられたか」
クレブリアの言葉にゴーディルが嬉しそうに言った。
「マントの男かい? ハハッ、いいねぇ、やっとお返しができるぜぇ」
そういえばゴーディルはマントの男に倒された事があった。ゴーディルがやられっぱなしでいるわけがなく、目がギラギラとしている。
「まだわかんないわよ、大体、私たちに直接けしかけてきたわけじゃないわ、ここで巨大カミツキウサギがいるって聞いて、討伐しに来た訳だし、他の誰かだったかもしれないわ」
「お……おう、まぁ……そうか」
急激にゴーディルがしぼんでしまう。
「とりあえず、用は済んだし、いったんギルドに行こうか?」
僕がそう提案するとみんな同意して、歩き始める。
2回目!