28話!
「追い詰めてきたわ」
クレブリアがそう声をあげた。巨大カミツキウサギが逃げるところにゴーディルの仲間がいて、そのたびに方向を変えて走っていく。巨大カミツキウサギも必死だからか、ダメージがあるはずなのにスピードが落ちない。
「なんかイジメてるみたいになってきた」
僕がポツリと言うとクレブリアがとびっきりの笑顔で言った。
「いつか同じように囲まれてイジメられて死ぬのを覚悟しないとダメよ」
「ははは……そうだね」
結構な事を言っていると思うけど確かに覚悟しないといけない気はする。それぐらいの事をしていると思う。恨まれてしまうだろう。
「エルさん! 危ないです!」
僕は他事を考えて油断してしまった。セルカの声に反応して、前を見ると巨大カミツキウサギが方向転換して僕の方に体当たりをして来ていた。シールドを張って何とか防ぐ。しかし、脚力の強さがそのまま体当たりの威力になっていて、相当強い。僕は後ろに吹っ飛ばされる。
「大丈夫ですか?」
無事に着地した僕にセルカがすごい勢いで駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫、油断したよ、まさか攻撃してくるなんて」
巨大カミツキウサギの方を見ると口を開いて、クレブリアに狙いを定めていた。
「ヤバイ」
「ヤバイです」
僕もセルカもいない状態ではクレブリアを守る人がいない。
「行って!」
僕はセルカにそう言うと、すぐにサンダーアローを撃ち出す。巨大カミツキウサギがとっさに口を閉じて、頭を下げるとサンダーアローは背中をかすって飛んでいく。それでもセルカがたどり着く時間は稼げた。
「クレブリアさん! 伏せて!」
セルカはクレブリアを伏せさせて、飛び越えると杖を振り上げ、オーラをのせて、振り下ろす。直撃せず、少し浅めになってしまったか、その衝撃で巨大カミツキウサギは後ろに吹き飛んだ。
「浅かったです! 仕留め損ねました!」
吹き飛んだ巨大カミツキウサギは数回転がった後、すぐにこちらに口を開いて威嚇体勢をとる。
「怒らせちゃったね」
僕はセルカとクレブリアの所までたどり着くとそう言った。怒って見えるのは気のせいじゃないだろう。逃げなくなって戦う気満々になっている。
「そろそろ、包囲網が狭まってくるわ、それで勝負は決まる」
大きくなって脚力は強くなってスピードが上がってるし、そのスピードで体当たりは強力だ。でも決して強いモンスターじゃない。逃げながら攻撃してくる方が厄介だったけど、正面から戦う分には苦労しない気がする。
2回目!