26話!
クレブリアの言葉で僕たちは小走りになる。森が目前になってきた頃、ヴェールから連絡が入った。
「森の東側よりの所にいたぞ」
「動いてるかしら? 止まってるかしら?」
「止まってるぞ……何かを食べてるってわけじゃないからすぐ動き出すかもしれないぞ」
「わかったわ……近づいたらダメよ、動いたら連絡ちょうだい」
「わかったぞ」
ついに発見した。巨大カミツキウサギ。僕たちは森の東側に向かって行く。僕が走ろうとしたらクレブリアに止められた。
「え? 急いだほうが」
「ダメよ、野生動物の感覚を甘く見ないで……ヴェールみたいに走って近寄るなんて私たちには無理よ」
僕たちの接近に気づかれたら逃げられてしまう。森を囲っているとしてもできるだけ逃げられず不意打ちしたい。早足に近いスピードで森の中に入る。
「でも討伐してしまったら、どういう経緯で大きいのが現れたかわからなくないですか?」
セルカが声を抑えてそう聞いた。
「討伐して、しばらく経過観察すればいいわ、新たな巨大カミツキウサギが現れなければ大丈夫、あとは一匹捕獲して育ててみるのね」
「そっか……とりあえず討伐に集中すればいいんだ」
僕の言葉にクレブリアは頷いて見せた。
それから何度かヴェールと連絡を取りつつ、巨大カミツキウサギのそばまでたどり着く。
「あれか」
「かっ、可愛いです」
セルカは巨大カミツキウサギを見るとそうつぶやいた。確かに可愛い。モフモフである。しかしあれは危険なカミツキウサギ。しかもあのサイズなら人間なんて瞬殺だ。
「確かに可愛いぞ」
「抱き着きたいです、一緒にお昼寝したいです」
「ガブリといかれるわよ、永遠の眠りにつくことになるわ」
なかなか恐ろしい事を言うクレブリア。ただ間違っていないのが悲しい。カミツキウサギでなければ捕獲してセレンのマスコットにできそうだけど。
「倒すしかないのですね」
悲しそうにセルカが言うとネピアに声をかけて杖を受け取る。
「ここから狙い撃ちしますか? ネピアさんがいれば私も遠距離攻撃できますよ」
「そうね……それでいくのが一番そうね」
「ここからだとアローしか届かないかも……それだと倒しきれるかどうか」
僕たちがいるのはカミツキウサギから二十五メートルくらい離れた所だ。もう少し近づいて、せめてボルトを撃たないと倒しきれない。
「これ以上近づくしかないかしら」
「クレブリアは遠距離攻撃できないの?」
2回目!