23話!
久しぶりの一人の部屋に新鮮味を感じながら、朝を迎えると南門へ向かった。そこにはすでにゴーディルとクレブリアとヴェールがいた。そのほかにもゴーディルの仲間たちが半数ほど集まっている。
「おう、来たかい」
「おはようだぞ」
「おはよう」
それぞれと挨拶をすませる。
「あの巨大カミツキウサギ討伐したら、当分肉には困らねぇな」
「食べるの?!」
「なんだエル? 食べないのか、肉はウサギと同じだぜぇ」
ゴーディルはくつくつと笑う。どういう経緯で大きくなったのかわからない以上はなんとなく安全性を疑ってしまう。僕はクレブリアに視線を送った。
「うーん、食べて危ない事はないと思うわ、ただ不味い気がする……硬いだろうと思う」
「硬いのかい?」
「たぶんよ、大きいから筋肉とか硬くなるんじゃないかと思うわ……まぁ好きにすればいいけど」
「硬いかぁ……そうか」
残念そうにゴーディルが呟くとクレブリアが「まぁ確かめてみないとわからなわ」とフォローした。
「さて……セルカたちはそろそろ来るかしら、ヴェールそろそろ」
クレブリアがヴェールに声をかけて続ける。
「先行して巨大カミツキウサギを捜索するのよ」
「おう! わかったぞ!」
「見つけても近づいたらダメよ」
「気を付けるんだぜ」
ゴーディルがヴェールの頭を撫でる。嬉しそうに顔を赤くしたヴェールが「じゃあ、行ってくるぞ」と南門を走って出て行く。その姿を見て前より早くなった気がした。足音もあまり聞こえない。
「すごいなぁ、成長してる」
「えぇ、立派になったわ」
小さくなるヴェールの姿を見つめるクレブリアがなんだかとっても。
「いい娘を持ったね、お母さん」
「お母さん言うな」
そのやり取りをゴーディルが心底楽しそうに見る。
「笑わないでよ」
「いいじゃねぇの、家庭的でいい女って事さ」
ゴーディルがニカリと笑って、クレブリアの頭をポンポンとする。
「いい女って……あなたに言われても嬉しくないわ」
不機嫌な顔をしてそっぽを向くクレブリアの腰の辺りを見ると服の下で尻尾が揺れているのが見える。こういうクレブリアは僕たちには絶対見せてくれないからなんとなくゴーディルがうらやましい。僕は大人の男に見られてないという事だ。
「エルさーん」
そんな声がした方を見るとセルカとネピアが小走りで近づいてきた。
「ちょっと遅かったですね、すみません」
「そんな事ないよ」
1回目!