20話!
「そんな」
「自分より弱い者には攻撃してくる、野生はそういうものよ」
その場の空気が張りつめる。脚力がとても強いという事はその足で体当たりでもしてきたらとんでもない威力になる。普通サイズでも人間を食べてしまう事があるんだから、巨大サイズは簡単に人間を食べてしまうだろう。噛まれたら即死。
「討伐するしかないかの」
ヨルセダがポツリと言った。もう、そうするしかないかもしれない。
「そうね、この街は周辺に危険なモンスターがいないから、人々の危機感も薄いし、街もそういう作りになってないわ」
セレンは塀はあるけど、そんなに高くない、門に門扉もない。そもそも襲撃に備えていない。だから人狼の襲撃があった時は簡単に街の中まで侵入されたわけだけど。
「それと……その巨大化カミツキウサギがどういう経緯で現れたかによって、長期的にも考えないといけない」
「長期的とはなんじゃ?」
「これはまだ仮定よ……何パターンかあるからよく聞くのよ」
クレブリアの言葉にヨルセダは姿勢を正して聞いた。クレブリアは指を一本立てて、見せる。
「まずは突然変異で現れた場合、これは限りなく一匹の可能性が高いわ、だから討伐すればそれで終わり……まぁ今後の警戒は必要だけど」
クレブリアが二本指を立てる。
「次は誰かに巨大化させられてた場合、これは相手によるけど、複数匹現れる可能性があるわ、それでもその黒幕を倒すなり、見つけるなりすれば、終わり……巨大カミツキウサギの脅威は去る」
三本目の指を立てて、クレブリアが渋い顔をする。
「次は一番起こってほしくない場合」
「え? 黒幕がいるより嫌なパターンがあるの?」
「あるわよ……巨大カミツキウサギが知られていないだけでそもそも巨大サイズにまで成長する場合よ」
「なるほどのぉ……長期的とはそういう」
納得する様にヨルセダが頷きながら言った。そのほかのメンバーは全くわからないという顔でポカンとする。
「もし成長するとしたらセレンの警備体制を見直す必要がある、危険な巨大カミツキウサギが飛び越えられない塀が必要だわ、門扉も設置しないといけない」
「でもどうして今まで成長しなかったんですか?」
「カミツキウサギは雑魚モンスターよ、討伐されやすいからそこまで成長する前に討伐されていたかもしれないわ、今回はたまたま討伐依頼の受注数が減っていて、成長を許してしまったかも」
「じゃあ普通に今まで通りにして、討伐数を一定以下にしない様にすれば」
僕がそう言うとクレブリアは顔を横に振った。
2回目!