19話!
「もしかしてマントの男?」
またマントの男の企みが動いているのか。僕の言葉でみんなが少しざわつく。
「ないとは言い切れないわ、ただマントの男だと断定するのも危険よ」
「確かにそうじゃな……どっちにしてもまずは巨大カミツキウサギじゃ」
「そうね……ゴーディル、サイズはどれくらいかしら」
「サイズねぇ……俺の立ってる時と高さが一緒だったねぇ」
ゴーディルの身長と高さが一緒って、相当デカイ様な。
「……厄介ね」
「俊敏もうなずけるのじゃ」
クレブリアとヨルセダだけ何かを納得したようにしていた。他のメンバーはキョトンとしている。セルカが代表する様に二人に聞いた。
「大きいと俊敏なんですか? 遅くなりそうですけど」
そのセルカの疑問をゴーディルは否定した。
「俺もやつの姿を見た瞬間、スピードは遅いと思って油断したんだ、でも驚くほど速かった」
「え? でもゴーディルさんが実際に見たならそういう事なんですね」
セルカは納得できないという表情をする。僕もよくわからなかった。デカくなれば体重も重くなるし、遅くなるような。
「遅くなるわけがないわ……そのカミツキウサギ太って大きいわけじゃなわよね?」
「おう、太ったというより、巨大化だねぇ」
「やっぱりそうよね、だとすると、体格や筋肉がそのまま大きくなってるって事よ……普通のカミツキウサギの五倍の大きさなら、脚力も五倍」
僕はクレブリアの話からふと思い出す事があった。動物や昆虫が人間サイズまで大きくなったらどうなるかっていうのを科学的に計算した物をテレビ番組でCGにして流していた。つまりそういう事だ。そして、何度かカミツキウサギを討伐しているから知っている。カミツキウサギは速い。逃げられると結構大変だった。あのスピードが五倍になるという事。
「なんとなく想像できたようじゃな」
セルカと僕は頷く。
「でも怖いのはこれからね」
「これから? どういう事じゃ? 逃げ足が速いのは厄介じゃがそれだけじゃろう」
ヨルセダの問いにクレブリアは神妙な顔で否定する。
「いいえ……恐ろしい事になる可能性があるわよ」
「どういう事じゃ?」
「学習能力がどれくらいあるかわからないけど、今はまだそのカミツキウサギが自分の状況を理解できていないわ、だから逃げ回っている、でもどこかで強い生物に勝てると学習してしまったら? 反撃は多くなり、さらには攻撃もするようになってくるかもしれないわ」
1回目!