16話!
僕が言ったその言葉にクレブリアは振り向いてクスッと笑い言った。
「子供にはまだ早い事よ」
クレブリアは自分がもと居たあたりへ戻っていく。なんかすごい負けた気分になった。
「あんな感じに言えたら大人なんですね」
「悔しいけどそういう事なのかな」
それから僕は黙々とアクアアイアンを探した。だんだん悔しさが薄れてきた頃、またクレブリアの声が降ってくる。
「エル、セルカ、見つかったかしら?」
「全然ないね」
「私もないです」
「そう……私もヴェールもなかったわ」
クレブリアの後ろにやってきたヴェールが悔しそうに顔を伏せる。
「ネピアは?」
ネピアは僕の問いかけに首を横に振っただけだった。誰も見つけられなかったらしい。空を見ると遠くの方が赤くなり始めている。そろそろ夕方だ。
「まさかこんなに見つからないとは」
「しょうがないわよ、レアな物なのよ」
「ここにあるんでしょうか、不安になってきます」
セルカの言葉に確かになと僕は思う。一度見つかったことあるだけで、もうないかもしれない。
「大丈夫よ、一度見つかってるという事はアクアアイアンができる環境はちゃんと整っているわ」
クレブリアがひと際、明るくそう言った。たぶん僕たちの気持ちがマイナスになっているのを感じ取って明るく言ってくれたんだと思う。
「クレブリアが言うなら大丈夫だね!」
僕も便乗して明るくそう言った。セルカもヴェールもネピアも「そうだね」と微笑む。
「ただ、今日はもう終わりね、今から帰って、街に着く頃には暗くなるくらいだわ」
「そうだよねぇ、今日中に見つけてと思ってたけど、甘かったかぁ」
「思い通りにはいきませんね」
セルカの同意を受けつつ、僕は無限金庫から乾いた布を取り出して、みんなに配る。足を拭きながらクレブリアが言った。
「明日も探すとして、あまり見つからないようなら買って実験するしかないわね」
「そうなったら私がお金を出します」
「え……みんなで出せばいいんじゃない? あぁそれも変か」
あくまでセルカの剣の素材だ。みんなで使う物ではないし、セルカも生活が困窮しているというわけじゃない。変な馴れ合いはしない方がいい。
「二人が結婚すれば気にせずエルもお金出せるわよ?」
ニヤニヤしながらクレブリアが茶化してくる。僕もセルカも顔が真っ赤になった。何とも言えなくなり、二人は黙ってしまう。
「いや! 冗談よ!」
クレブリアが珍しく慌てた様子で言った。
2回目!