14話!
「きゃっ、避けるなんて卑怯ですよ!」
「卑怯じゃないよ!」
僕はさらに水をかけると急に後ろから水をかけられた。
「うわっ、いきなり」
後ろを振り返るとヴェールとネピアが二人で一緒になって僕に水をかけてきていた。三人に挟まれる形になってしまったせいで僕はびしょびしょにされてしまう。
「くそぉ、まさか挟まれるとは」
「ははは! 実はアタシは策士だったんだぞ!」
嬉しそうに笑うヴェールを見て僕はピンとくる。これは黒幕がいるなと。その黒幕の方に顔を向ける。
「なによ」
クレブリアがそう不機嫌そうに言った。僕がじーっと見つめると「ふふっ」とクレブリアが吹き出す。
「もぉなによ」
「クレブリアが指示したんでしょ」
「証拠はあるのかしら?」
「ないけど」
「じゃあこの話は終わりね」
そう言って、クレブリアが立ち上がると小川に近づいてくる。
「さぁいつまでも遊んでいられないわよ、アクアアイアン探しをそろそろ始めましょう」
そう言いながらクレブリアがズボンの裾を上にずり上げてから小川に入ってくる。それほど深くはないけど少しよろけて、ヴェールがすぐに支えた。
「ありがとう……さてアクアアイアンだけど、水の中にずっと浸かっているはずだから、触ったら柔らかい感触のはずよ」
「じゃあ触って確かめて行くしかないんですか?」
「えぇそれが一番確実だと思うわ、みんなでバラけて探しましょう」
川幅は広くないから上流から下流に僕たちは等間隔で並ぶようにバラけて各自探し始めた。簡単に探すと言ったけど実は川底に手を当てて、柔らかいものがあるかみていくのは難しかった。なにせ川底の土は柔らかい。土の柔らかさとアクアアイアンの柔らかさの違いを指先で判断しないといけない。そもそも触った事がないから違いが判るか不安だった。
「うーん、どこ触ってもぶにょぶにょ」
たまに硬い石があったりするけどそれは普通に硬い。そしてなんか柔らかい気がして持ち上げても、結局硬い石だったりする。アクアアイアンの見た目は普通の石と変わらないらしいから、柔らかさだけが頼りだ。指先に神経を集中して、進んでいく。
「あぁ、腰が痛くなってきた」
そう僕が呟くといつの間にかだいぶ近づいてきていたセルカが教えてくれた。
「腰に魔力を集中しておくといいですよ」
「え? そうなの?」
「腰をサポートする様にこうして……こうです」
セルカが手を腰の周りにぐるりと一周させて言った。
2回目!