11話!
「それまでに剣を手に入れておかないと」
セルカが嬉しそうに言った。
「そうだね」
「それじゃあな……また」
ゴーディルがそう言った後、クレブリアにだけ個別にあいさつして、その場を去って行った。僕はゴーディルの行動を特に考える事はしないと決める。そうしているとクレブリアがいつもの調子で言った。
「さぁ行くわよ」
クレブリアを先頭にギルドの受付に向かう。僕はてっきり冒険者に声をかけて情報収集するのかと思ってた。
「こんにちは」
「こんにちは、どのようなご要件でしょうか」
「何個か素材を探してるのよ、どこの辺りでとれるか教えてもらえるかしら」
「どういった素材でしょうか?」
クレブリアは貰った素材リストを受付に見せる。一番上の素材を指差して言った。
「これよ」
受付の女の人はリストを見て、呟く。
「アクアアイアン……ですか」
そう呟いたあと受付の女の人は「少々お待ちください」と席を離れていった。
「ずっと聞くタイミングがなかったんだけど、アクアアイアンって何? 水の鉄?」
「……エルって本当に無知よね、すごい事できるのに、物を知らないわ」
呆れたように微笑んでクレブリアが「まぁいいわ」と呟くと、アクアアイアンについて説明してくれた。
「アクアアイアンというのは、水の中で自然生成される物よ、特殊な物質で熱しても柔らかくならない」
「普通の鉄と反対な感じ?」
「んー、反対と言っていいのかわからないわね、とにかく熱に強い、ただ逆に水に弱い、水に短時間でも浸かっていると普通の鉄と同じ硬さになるのよ、長時間浸かっているとかなり柔らかくなる」
僕は驚いた。さすがファンタジー世界だ。不思議な物がある。
「でもそれって硬いの?」
「硬いわね、水に浸かっていない、普通の状態ならかなり硬い」
「すごいねぇ、でも弱点も大きい気が」
「そうね、雨が降っていたら普通の剣と同じだし、長時間濡れたら普通の剣より弱くなるわ」
メリットとデメリットがあるらしい。上級者向けの素材だと思う。つまりセルカはそれを扱えるだけの技量があるとドルガノに認められているらしい。ちょっと誇らしかった。
「だからちょっと不純物を混ぜて特性を弱めたりするみたいね」
「なるほど、メリットを少し諦めて、デメリットを少なくするわけだ」
「そうね、逆に純正のアクアアイアンの剣と火の魔法を組み合わせるとかなり強力よ」
「あぁ、熱に強いから」
「えぇ、それに、強力な火の魔法で常に剣の水気を取り続けるのよ」
1回目!