10話!
「剣がチェックメイトに耐えられずです」
セルカが少し沈んだ表情で言った。
「まぁあのパワーだ、しょうがねぇだろ、セルカのせいじゃねぇよ」
「ありがとうございます」
「それで新しい剣の関係かい?」
ゴーディルがクレブリアに向き直る。
「えぇそうよ、鍛冶屋に行ったら、特殊素材で作るしかないって言われたの」
「ほぉう、特殊素材ねぇ、それでギルドに」
「素材を集めにね……ゴーディルは詳しい方かしら?」
持っていたリストをクレブリアがゴーディルに手渡す。そのリストを渋い顔でゴーディルが見つめた。現在ゴーディルとその仲間たちはギルドの調査隊に所属している。いろいろな所に行っているから詳しそうだけど。
「すまんね、俺にはわからん」
やがてリストから顔をあげて、苦笑を浮かべたゴーディルが言った。
「興味がないもんでね……俺なんかよりギルドの他の職員の方がいいねぇ」
少し残念そうなクレブリアがゴーディルからリストを受け取りながら「そう」と呟く。残念そうというよりなんだか何か言いたげな感じがする。僕がそう思っているとクレブリアが決意したようにゴーディルに向って口を開いた。
「あの、よかったら、手伝ってくれないかしら?」
いつもの調子より少し、弱い感じのクレブリアだった。それをうけてゴーディルは困った表情になる。
「今からちょっと行かねぇと……問題……というかおかしな事があってねぇ、当分手が空かねぇかもしれない」
「……そう」
明らかな落胆顔でクレブリアが呟く。それも見てゴーディルが苦笑した。
「悪いねぇ」
申し訳なさそうな声と共にゴーディルがクレブリアの頬をそっと撫でる。僕はおや、と思いつつ、気にしてない風にゴーディルに聞いた。
「おかしい事って?」
「おう」
僕の問いかけにゴーディルが僕に体を向けた。その瞬間、ゴーディル越しにクレブリアが物凄い剣幕で睨みつけてくる。僕は気づかないふりをした。
「なんかな、南の森でデカイモンスターがいるって目撃情報だ、恐ろしく俊敏でちゃんとした姿を見れた奴がいねぇのよ」
くつくつと笑ったゴーディルが続ける。
「なかなか面白そうだろう、ヨルセダから許可貰って調査に行くところだ」
「デカイモンスターか」
「ここら辺じゃあ、見ないデカさだとよ、ハハッ、今から楽しみだぜぇ……場合によっちゃあ、討伐の依頼が出るかもしれねぇ、エルたちも準備しとけよ」
2回目!