9話!
「へぇ、いいねぇ、そういうの」
僕は素直にそう思った。職人の挑戦は続く。そういうのが技術をどんどんあげていくんだ。
「カッコイイ」
そう僕が言うと女性陣は「ふぅーん」と気のない返事だった。
「男ってそういうの好きよね」
「そうですね」
「そう」
「そうだぞ」
最後の方はきっとよくわからず頷いているだろうけど、特に突っ込むことでもないので何も言わない。そうこうしているうちにギルドが見えた。僕たちは中に入る。
「おう、エルじゃねえか」
中に入るとそこにはゴーディルが入り口に向かって歩いてくるところだった。僕は立ち止まって挨拶をする。
「ゴーディル、今から仕事?」
「おう、そうだぜぇ、エルたちは依頼かい?」
「依頼というか……」
僕の言葉を途中で遮るようにクレブリアが口を開く。
「情報収集ね」
「そうかい、今日も元気だねぇ」
クレブリアの腰のあたりに視線を落としたゴーディルがくつくつと笑いながら言った。僕もクレブリアを見てみると服に隠れてはいるけど、尻尾が左右に振れていた。
「元気って何よ、むしろあなたなんかに会ってしまって不機嫌よ」
「そうかい、そうかい」
心底面白そうにそう言ったゴーディル。クレブリアを見ると顔だけはとても不機嫌だ。自分では自覚がないのだろうか。言うと怒りそうだから黙っていよう。
「じゃあ、そろそろ行くぜぇ」
なぜだかニヤニヤとしながゴーディルがそう言うと歩き出そうとする。それに対してクレブリアの尻尾が動きを止め、力なく垂れ下がった。表情は変わらず、不機嫌なまま。
「……待って」
クレブリアが消え入りそうな声でそう言った。その言葉に待ってましたというような態度でゴーディルが答えた。
「なんだい?」
「あの……えっと……」
目を泳がせながらクレブリアが言葉を探している様に声を出す。
「どうした? いつもの強いあんたはどうしたんだい? 何もないなら行くぜ?」
明らかにニヤニヤしながらゴーディルがそんな事を言う。
「あっ……実はセルカの剣が壊れてしまったのよ」
やっとのことで言葉を引き出したクレブリアがまくしたてる様に続ける。
「その剣を作るのにいろいろやらないといけない事があって」
「なるほどねぇ、壊れちまったかい?」
ニヤニヤとしていた表情は消えてゴーディルが心配そうにセルカに問いかける。
「はい、そうなんです」
「やっぱりあのスキルが強力すぎたって感じかい?」
1回目!