8話!
「さて、じゃあギルドに行くわよ」
みんなでひとしきり笑った後にクレブリアが言った。
「どうして? 剣の素材は?」
「ギルドには情報をもらいに行くのよ、どこにあるのか、どうやったら手に入れられるか、わからないし」
「なるほど」
「壊すつもりで買うのはなんか嫌だしね」
ウィンクしながら言ったクレブリアがギルドに向かって歩き出す。
「でも特殊素材っておおごとになってきましたね」
申し訳なさそうにセルカが言う。
「そんな事ないよ、ある意味、目標が出来ていいと思うよ」
僕はセルカの肩にポンと手を置く。それに対してセルカは微笑んで言った。
「ありがとうございます」
「じゃあ、いっその事もっとすごい素材を手に入れたらいいぞ」
「いい考え」
ヴェールが言葉にネピアが同意する。もっとすごい素材って何があるんだろう。
「バカね、リストにないとドルガノさんが剣に加工できないじゃないのよ」
「むむむ」
「むむむ」
指摘をされてヴェールとネピアが揃って悔しそうに黙る。僕は剣にするとかそういうのを抜きにして単純な興味で聞いてみた。
「一番硬い、すごい素材って何? ドラゴン関係?」
定番だとドラゴンの鱗とか牙とかだけど。
「一番ねぇ、それは武器に使える物? それともただ硬いだけでいいなら」
クレブリアが考えるような素振りをした。
「パッと思いつくのはアレですね」
すかさずセルカが言った言葉にクレブリアが「アレね」と渋い顔をする。
「なに?」
「一番硬い素材はあるわね……素材って言っていいのか、物質の方が正しいかも」
「なんて言うの?」
「トルカネティウム……よ」
「一番硬い物質です」
「ほぉ、それってそんなに硬いんだ」
セルカが苦笑するとクレブリアが代表する様に言った。
「硬いわ……硬すぎるのよ、絶対に形が変わらないの」
「え? 形が変わらない?」
「そうよ、熱もダメ、衝撃もダメ、トルカネティウム同士で叩いても何もならない、加工不能の物質よ」
「えぇ……何にもできないんじゃあ」
「だから厄介な石ころね、レア度は高いけど価値は低いのよ、材料にならないから素材という言葉はふさわしくないわね」
「でも一応、武器に何とか加工する手はないかって職人さんたちの永遠の目標らしいですよ」
クレブリアに視線を送りながらセルカが言った。
「らしいわね、だから物質と言わずに職人の間で素材と捉えられているとか」
2回目!