6話!
僕たちはセルカがお世話になっているという鍛冶屋の所に向かった。
「私の剣はあそこで作ってもらったんです」
先頭を歩くセルカが微妙な表情をこちらに向けて言った。作ってもらった剣を壊してしまったんだ、申し訳なさでいっぱいだろう。
しばらく歩いて僕たちは少し奥まった所に入る。工房らしき建物の前でセルカが立ち止まるとここですと言って中に入っていく。
「こんにちは」
中に入ると厳ついおじいさんがギロリとこちらを睨んできた。僕は少したじろいでしまう。
「嬢ちゃんか」
おざなりな言い方で一言。それ以上何も言わず、何かの作業に戻ってしまった。
「実は報告があって……」
セルカが言い辛そうに口ごもる。一瞬だけ沈黙が流れ意を決したようにセルカが言った。
「作ってもらった剣を……壊してしまいました」
セルカのその言葉におじいさんがピクリと反応して言った。
「……そうか、すまん、壊れるような物」
「いえっ! 私が悪いので」
それだけ言うと持ってきた剣の残骸と壊れず残った部分をセルカがおじいさんに手渡す。
「直せんな……どうする?」
「もっと硬い剣をお願いしたいんです」
そう言ったセルカを見ておじいさんがしばらく沈黙する。
「どれくらい硬いのだ? あの剣はあの素材の最大の質を引き出した、それでダメなら特殊素材しかない、具体的な素材で頼む」
「……あぁ」
言い淀んだセルカがクレブリアを見る。それを受けてクレブリアが苦笑してから、一歩前に出る。
「はじめまして私はクレブリアです、セルカの仲間です」
「……ドルガノだ」
「特殊素材ですか……今すぐセルカの力に耐えられる素材が答えられませんわ、なので候補を教えてもらえませんか? 実験してきますわ」
ドルガノがしばらく考えるとのそりと立ち上がると奥に何かを取りに行って戻ってくる。紙と羽根ペンを持っていた。
「リストを書いてやる、待ってろ」
「ありがとうございます」
微笑んでクレブリアがそう言うとセルカに視線を送る。セルカも嬉しそうにした。
「それで……とりあえずの剣は必要か?」
リストを書き込んでいる最中、こちらを見ずにドルガノが問いかけてくる。さっきクレブリアに聞かれて保留にしていた質問だ。
「……必要ないです、壊してしまう気がします」
「そうね、特殊素材でしかセルカの力に耐えられないなら、普通の剣じゃダメだし」
セルカの決断にクレブリアが同意した。ドルガノが「そうか」と呟く。
「これがリストだ」
ドルガノの差し出したリストをセルカが受け取って言った。
「ありがとうございます」
2回目