5話!
「そんなぁ」
僕はついそんな声をあげてしまった。
「しょうがないわよ……チェックメイトの力に耐えられなかったのね、状況を聞くと緊迫してたみたいだし、オーラが剣に集中しすぎたのかしら」
「……遅かれ早かれ壊れてたんですね」
「そうね……戦いの最中じゃなくてよかったわ」
クレブリアが笑顔になって立ち上がるとセルカをそっと抱きしめる。
「よかった……セルカがケガする結果なんて嫌よ、剣が身代わりになってくれたのね」
「クレブリアさん……そうですね、私の剣が身代わりに」
体を離してクレブリアがセルカの顔を見る。
「どうする? とりあえずの剣を持つ? それともちゃんとしたの手に入れるまで何も持ちたくないかしら?」
「う……んと」
セルカが思案顔になって黙る。
「すぐに決めなくてもいいんじゃない?」
僕はすかさずそう言った。
「そうね、たいした問題じゃないわ」
僕の言葉に笑顔でクレブリアが同意してくれる。
「……ちょっと考えてみますね」
セルカは少し寂しそうな表情をする。思い出の品だったらしい剣が壊れて、やっぱりそう簡単に割り切れるものではないよね。
「まぁどっちにしても、新しい剣を用意しないといけなわ、だけど」
クレブリアが顎に手をやりなんかを考えるような素振りをする。ややあって、続きを言った。
「チェックメイトに耐えられる剣ってどれくらいのクラスの剣でしょうね」
「そうだよね、それがわからないで手に入れてまた壊れたら嫌だね」
ふとクレブリアがセルカを見つめる。
「壊れた剣ってどれくらいの物だったのかしら?」
「どれくらい……」
セルカが困った様な表情をして、クレブリアを見つめ返す。
「そうよね……困るわよね」
「武器のランクみたいなのないの?」
「ないわよ……強いて言うなら素材かしら? 職人によるでしょうけど、どんな値段でも手を抜かない職人なら安くても質が良い物ができるわね、だから最高の質を出していると仮定して、あとは素材の良し悪し」
「なるほど」
じゃあ素材の事を考えればいいのではないか。僕はセルカに問いかける。
「あの剣の素材って何だったの?」
「詳細はわかりませんが、普通の鉄? ではないかと、普通の剣なので、デザインにお金がかかりました」
「デザインって、その分のお金でもっといい物を買えたでしょうに」
「嫌です」
はっきりとセルカが言った。それを聞いてクレブリアが「まぁいいわ」と苦笑する。
「とりあえず、ここにいても仕方がないわね、鍛冶屋か武器屋に行きましょうか」
1回目!