4話!
「いやぁぁぁぁ!」
セルカの悲鳴。今度はとても長く強かった。僕には何が起こったか全くわからない。セルカに異常は見られない。
「どうしたの?!」
力なくセルカがペタンと尻もちをつく。それから僕の問いかけに言葉なしで見つめ返すだけだった。
「え? なに?」
セルカは目に涙を溜め始める。僕はそこでセルカの顔だけを見ていた事に気づいて少し視野を広げてみた。するとセルカの手に握られている剣が異様に短くなっている。いや。
「折れた? というか粉砕した?」
セルカの剣が柄と鍔とわずかな剣の残骸を残して無くなっていた。
「剣がぁぁぁぁ! 私の剣がぁぁぁぁ!」
目に溜まっていた涙が流れ始める。剣が壊れてしまった。かなり跡形もなく。何かの襲撃ではなくてよかったけど、これはこれで問題がある。
「お気に入りだったのにぃぃぃぃぃぃ!」
とりあえず僕はセルカをなだめる事にした。
「落ち着いた?」
「……はい」
僕はセルカの背中を擦りながら言った。
「背中擦られるとなんか落ち着きますね」
少し元気になった様に見える。よかった。
「はぁ、お気に入りだったのに」
セルカが剣の残骸を眺めながら言った。
「頑張ってお金貯めて作ってもらった剣で思い出でもあったのに」
「そっか……辛いね」
こういう時はなんて言ってあげたらいいか。僕は悩む。新しいのを買ってあげるなんてダメな気がするし、直せるよなんて無責任な事言えない。というか直らないし。塵とまでは言わないけど、かなり細かく粉砕されてしまっている。
「どうしようか……一緒に考えよう」
僕はいろいろ考えたけど思いつかずそうセルカに伝えた。セルカはそれを聞いて少し顔を赤くする。
「……はい」
僕の言葉はそれほど間違っていなかったらしい。よかったと思いつつ僕は言った。
「今日はもう戻ろう」
「そうですね」
セルカが頷いて立ち上がると僕は「ちょっと待って」と剣の破片を集めれるだけでも集める事にした。
「一応ね」
「ありがとうございます」
そう言うと破片集めをセルカも始める。二人で集めた破片を袋に入れて、セレンの街に戻った。
「それで戻ってきたのね」
宿に戻って、クレブリアの部屋を訪ねる。事情を話してみた。何かいい案を提示してくれるかもと期待して。
「破片を見せて」
自分のベッドに腰かけた状態でそう言ったクレブリアに破片の入った袋を渡す。袋を受け取ったクレブリアは中身を覗くようにする。
「粉々ね……無理ね、直せないわ」
クレブリアは非情にそう言い放った。
2回目!