3話!
僕はセルカの剣撃を魔力なしで紙一重で避ける。これならセーブスペルは中断されない。
『セーブスペル《雷鳴》』
「あっ」
セルカの声が響く。すでに不滅魔法兵が僕の身体を覆うように現れて、僕と不滅魔法兵は完全に同化していた。
「やられました」
なんだか嬉しそうにセルカがそう言うと一旦、距離を取るようにセルカは後ろに飛び退く。
「二人とも上手に発動できたし、ここからは実戦形式かな」
基本的にいつもこの流れだった。二人の技が発動したら、そのまま実戦形式で戦って特訓は終わり。
「そうですね、いつもより調子よさげですので出力上げちゃいますよ、勝っちゃいますね」
二ヒヒとセルカがイタズラっぽく笑う。すると剣にオーラが絡みつくように広がる。そのまま、オーラが濃くなった。
「すごいね、前より扱いが上手くなってる」
「はい、チェックメイトに目覚めてから私かなり変わったというか、素の状態も体が良く動くようになりましたし」
本来の力が目覚めたという感じだろうか。僕も気合を入れないと。そう思って、構えるとセルカも構えた。セルカの剣のオーラがさらに大きくなった気がした。
「おしゃべりはここまでですよ」
そうセルカが宣言すると剣を頭の上まで振り上げる。しかし、その瞬間、不穏な音が響いた。硬いものにひびが入る音。どこからだろう。
「今の何だろう……こんな音出すモンスターいる?」
僕がセルカに問いかける。
「聞いた事ないですね」
「とりあえず一時休止にして、警戒しよう」
僕の言葉にセルカは頷いて、振り上げていた剣を戻すと、僕の方に寄ってくる。その最中にさらにひび割れる音が聞こえてくる。
「なんですか? マントの男の襲撃?」
「どこかから狙ってるかな」
マントの男の目的はいまだ不明。何が目的なのかわからないから、セルカをまだ狙っている可能性は充分にあるし、僕を狙ってる可能性もある。警戒はしっかりしなければ。さらにひび割れる音がする。というより、さっきよりも音が連続してするようになってきた。
「くそ、なんだこれ」
さらに連続する音。セルカの体が強張るのがわかった。しかし、その瞬間、今までとは別種類の音が響く。ひび割れが限界に達して、すべてが崩壊したような音。僕が杖を構えなおす。それと同時にセルカが地面に向けていた刃先を持ち上げ、構えなおした。
「ひっ!」
「なに?!」
小さな悲鳴が聞こえてそれを発したセルカに僕は注視した。
1回目!