2話!
白と黒のオーラはセルカの周りにあふれ出ている。ただ量は少なく薄めだった。
「マントの男はただ目覚めさせただけでここから本来の姿までレベルを高めるのは私って事ですね」
セルカは嬉しそうに笑って続けた。
「頑張れば強くなれるってわかってるのはかなり心強いです」
「そっか」
「それにエルさんとお揃いですよ、晴天の雷鳴は不完全ですよね?」
セルカに言われて僕は頷いた。セルカが操られた状態の時に使った晴天の雷鳴は結局、上手く使いこなせていなかった。あの状態で突きをするだけならいいけど、戦いができない。パワーが強すぎてうまく動けないのだ。自分の体が弱いせいか、もっと改良の余地があったのか。とりあえず僕は晴天の雷鳴の劣化版、「雷鳴」を使っている。晴天の雷鳴は出力は同じままで動きやすくなるように。加えて自分自身の体を鍛えている。
「一緒に強くなりましょう」
セルカが頬を赤らめて言った。僕もつられて赤くなってしまう。
「……さぁ! 僕の番!」
僕は恥ずかしさを取り払うように声を大きめにあげた。ニコリと笑ったセルカの「はぁい」という声がする。
「ここからは真面目に……ケガするからね」
僕の言葉でセルカの表情が変わる。二人の間にピンと空気が張りつめるのを感じた。
『雷鳴でいい?』
「……うん」
ネピアの声に僕は頷いた。その瞬間、セルカが距離を縮めて斬りかかってくる。チェックメイトは解いていない。僕の方はネピアとで二対一みたいなものだからセルカはチェックメイトを使用する事になっている。確かにネピアが完全に発動を管理してくれるという完全分業制だから、僕の方が発動はセルカより簡単だ。
『魔法陣展開』
僕はただセルカの攻撃をしのげばいい。あとはネピアが僕の魔力を使って発動してくれる。問題は。
「はぁ!!」
セルカがオーラをまとったかなり強い剣撃を繰り出す。速さもありかなり強力。避けられないと判断した僕はシールドをはる。その瞬間、魔法陣が消えてしまった。
『失敗』
問題というか弱点はそこだった。雷鳴や晴天の雷鳴を使用するとき、同時に別の物に魔力を使うと失敗する。それだけ巨大な魔力を雷鳴や晴天の雷鳴につぎ込まないといけない。その弱点を敵に見破られたら阻止されてしまう。うまく立ち回らなければならない。
「成功です」
ニヤリと笑ったセルカがさらに剣撃を仕掛けてくる。
『魔法陣展開』
僕の足元に魔法陣が現れる。それを見て、セルカは振り下ろしていた剣をすかさず、左下から上にオーラののった強力な剣撃を繰り出した。
2回目!