12話!
「ネピア、とりあえず僕の記憶は全部知ってるって事だよね?」
コクリとネピアが頷いた。
「じゃあ記憶喪失って事になってるのはわかってるよね、話合わせてね?」
ネピアはまたコクリと頷く。無表情で無口なようでこちらから話しかけないと声を出さない。
「連れてきたわよ」
クレブリアの声がドアの向こうから聞こえて、僕は皆を迎え入れた。
「どうしたのよ」
「何かありました?」
ぞろぞろと入ってくるとクレブリアとセルカが声にならない声をあげた。
「ここここちらはどなたかしら」
「女性を連れ込んだのを白状したという事でよろしいですか?」
セルカが剣を抜くような素振りを見せて、すぐに僕は否定する。
「違う違うから!」
「エルは変態なのか?」
「違うって言ってるでしょ!」
ヴェールはキョトンとした顔でそう聞いてくるから僕はさらに否定した。
「じゃじゃじゃあ何かしら」
クレブリアは意外と言ってる事が動揺しまくっているが何とか強気な姿を保とうとすました表情をしている。剣に手をかけて抜刀術並みに構えているセルカを何とかなだめて、椅子に座らせて、クレブリアも向かいの椅子に座らせた。
「ヴェールはどこに座ってもらおうか」
そういうとヴェールはベッドに乗って、ネピアのとなりに胡坐をかく。全員が座って落ち着くと立ったままの僕は話を始めた。
「僕もまだ混乱してるんだ、だからみんなに話して整理をしたい」
「なんですか?」
セルカがちょっと怖い雰囲気を出して聞いてきた。少し僕は怯みつつ、口を開く。
「僕が右手に指輪つけてたの覚えてる?」
みんながちょっと自信なさげに頷いた。
「その指輪がねこの杖に変化したらしい」
僕はネピアの本体らしい杖を持ち上げてみんなに見せた。
「それでこの杖の精神がこの娘、ネピアらしい」
僕が視線を送るとネピアが頷いて立ち上がると言った。
「ネピア、杖の精神体」
それだけ言うとネピアは霧散する様に消える。全員が乗り出すように驚いた。
「墓守と……不滅魔法兵みたいな感じかしら」
「そうみたい」
『信じたですか?』
突然、ネピアの声が聞こえる。頭に直接、聞こえてるのか杖が実際、喋ってるのかわからない声だった。
「さっきの娘の声が聞こえました」
セルカが言うとクレブリアもヴェールも同意する様に声をあげる。
『ここにいる人にだけ聞こえる、ネピアが選んだ相手だけ』
「なるほど、そうなんだ」
『そんなに遠くまでは無理だけどです』
なんかしゃべり方が安定しないな、と僕は思いつつネピアに「出てきていいよ」と言う。
2回目!