51話!
「そろそろ行くよ」
僕たちは宿のおばさんとおしゃべりした後、宿を出てギルドに向かう。
「やっぱり心配してたわね、おばさん」
「なんだかあんなおばさん初めて見たぞ!」
「そうだよね、いつも強くて豪快でってイメージ」
安心したのか今日のおばさんは少し小さく見えた。いつもあぁやって心配してくれてみんなのお母さんだな。
「なんか申し訳ないです、私が連れ去られたせいで」
セルカが少し暗い顔をしてそう言った。
「いや、セルカのせいじゃないわよ、あのマントの男が全部悪いのよ」
「そうだぞ!」
「セルカ、悪くない」
女の子たちのフォローでセルカは表情が戻る。何もかもマントの男が悪い。何が目的か知らないけど、人をさらっていい理由なんてないんだ。
「エルさん、いつかあの人、マントの男を倒しちゃいましょう」
「そうだね、人さらいの罪をちゃんと償わせよう」
僕とセルカは握った拳をこつんと当て合う。僕の晴天の雷鳴とセルカのチェックメイト、二人で協力すれば敵なんていないと思う。そしてまだまだ、鍛えて二人とも強くなる。
「あぁ、ギルド……久しぶりです」
到着したギルドの建物を眺めてセルカが呟く。
「さぁ入ろう」
僕たちが中に入ると相変わらず冒険者で賑やかだった。僕はまずアイマを探す。アイマもセルカと親交が深いから、無事帰還した事を伝えてあげないと、ずっと心配してる。
「あっアイマ」
受付にいるアイマを見つけて僕は手を振る。こちらに気づいたアイマの表情が一変して、受付からこちらに駆けてきた。
「セルカ!」
それだけ言ってアイマはセルカに抱きつく。結構大きな声で周りの人が様子を伺うように視線を送ってくるけど、すぐに視線は外されていく。
「見つかったってのはヨルセダ様から聞いたけど……よかった」
「心配かけてすみません」
「本当に」
アイマが微笑むとセルカのおでこをポンと指で小突く。
「これで許してあげる、おかえり」
「はい……ただいまです」
「さぁ、ヨルセダ様もゴーディルが報告入れてから、今か今かと待ってたから早く顔見せてあげて」
アイマがそれだけ言うと奥の方に入って行く。
「あぁ本当にいろんな人が心配してくれてて……不謹慎かもですが、嬉しいです」
悪戯っぽく笑ったセルカがそう言うとクレブリアが「不謹慎じゃないわ」と微笑む。
「そうですか、じゃあ、思いっきり嬉しさをかみしめちゃいますね」
1回目!