50話!
僕たちは体を休めた後、馬車を使ってセレンまで戻ってきた。急ぐこともないので結構ゆっくりめの旅だった。セレンに到着するとセルカがとても嬉しそうに言った。
「やっと帰ってきました!」
「おかえり」
僕らは声をそろえてそうセルカに向かって言う。セルカは一瞬、驚いたようにしてすぐ笑った。
「何ですか、もう……ただいま」
「ふふっ、さぁ各所に顔出して無事の報告をしないといけないわよ、ドサバは距離的に難しいから行けないけど、近いうちにレガルの賢者様の所には行かないと」
「そうだね」
実は僕たちはレガルを通らずにセレンまで来た。道的にはヴァルツゴからレガル、セレンまでは道のりがまっすぐではなく、緩やかにカーブしているらしい。だからヴァルツゴからセレンまで一直線に来れる道を使ったのだ。
「まずはギルドですかね」
「何言ってるのよ、それより先に行かないといけない所があるじゃない」
「あぁ……え? どこでしょう」
「セルカの第二のお母さんの所だよ」
僕は疑問の表情を浮かべるセルカにそう言う。
「第二のお母さんは……クレブリアさん?」
「お母さん言うな……宿屋のおばさんよ」
「あっ、おばさん」
「セルカの事、口では何も言ってないけど心配してるわよ」
「そうそう……ケロッとした顔で死んでたら早めに教えてよ、死んでるのに部屋を開けといたらその分稼げないからねって言ってたけど」
「はは……心配してますかね」
セルカは呆れ顔でそう言うと僕は少し心配になる。本当に心配してるだろうか。ちょっと不安を覚えつつ、宿屋に向かう。
「久しぶりです、無事帰りました」
宿屋に到着してセルカがおばさんに声をかける。
「っ! あんた……無事だったかい」
セルカを見た瞬間、おばさんは近づいてきて、そう言うとセルカを抱きしめた。
「心配させるんじゃないよ、次にこういう事があったら……部屋は開けとかないからね……ちゃんと帰ってきな」
「そっか、ちゃんと帰ってこないといけないですね」
「当たり前だよ」
おばさんがセルカを抱きしめる手を強めるのがわかる。あんな事言って本当は心配してたんだ。しばらくセルカを抱きしめた後、皆に視線を送るとおばさんが言う。
「あんた達もだよ、ちゃんと帰ってきな」
僕たちが頷くとおばさんは満足したように笑う。
「というかエル! あんた男の子なんだからちゃんと守らないでどうするさ! 次に誰か帰ってこない事があったら、あんたをとっちめるよ!」
「えぇ!」
みんなが僕とおばさんのやり取りを見て笑った。
2回目!