48話!
セルカが静かに頷いた。僕はセルカを伺い見る。操られていた時と今では違いがわからない。
「まずは……解放されたの? 操られつつも自分で逃げた?」
「解放されました……しばらくはあの人と一緒にいて、ブラッドスキルを目覚めさせるためって言われて、スキルが目覚めた後は少し手合わせをして、それから君の仲間の男の子と戦ってみなさいって……それが頭に残ってて」
「それで僕と戦ったんだね……そういうスキルかな」
僕はクレブリアに視線を送る。ゴーディルから話は聞いてると思うから状況はわかってるだろう。
「私の考えを言って先入観を与える前に……セルカはあの男のスキルは何かわかった?」
クレブリアの問にセルカは考える素振りをする。
「……操られていたのはわかっていたのに全然、意識混濁がなかったんですよね……クリアに物事を認識してました、だからお願いをされてそのお願いを聞いてしまった感じ……そういうスキルかと」
「そう……私はあの男のスキルは命令系だと思ってるわ」
「命令系? 無理矢理感がなかったのに?」
僕はクレブリアの言葉が少し気になる。命令というと無理矢理従わせるイメージがある。
「命令もちゃんと納得してればスッと入ってくるわ、理不尽だったりしなければ、話が上手ければ納得もさせやすいし……それに」
そこまで言ってクレブリアがセルカをじっと見る。
「ブラッドスキルを目覚めさせたのってそのスキルを使ったんじゃない?」
「え? あぁ……そうかもしれないです……何日かかけて言葉で目覚めるんだって」
「え? 言葉で?」
驚いて僕は声を上げてしまった。そんな事ができるんだ。
「きっと、セルカの無意識の部分に命令したんだわ」
クレブリアが驚いた様子で言った。
「かなり強力なスキルね」
防ぐ手立てはないのだろうか。ゴーディルはそのスキルで動きを鈍くさせられた。
「次に行くわ、あの男は何者かわかったかしら?」
「それは……でも気になる事を言ってました」
「気になる事? どんな?」
「あの人のブラッドスキルが薄まって私のスキルに変わったって」
セルカのその言葉にクレブリアは驚きを隠せないように言った。
「それ! どういう事よ! それってつまり」
「はい……そういう事になります」
「え? なに? どういう事?」
僕は二人の言葉が理解できなかった。クレブリアに僕はどういう事か聞く。
「ブラッドスキルは血筋のスキルよ……つまりセルカとあの男は血縁者って事になる」
「え?! でも! スキルが全然……」
「そう、スキルが違いすぎる、だから嘘か勘違いの可能性もあるわ、例外もある……でもブラッドスキルはほとんど一世代じゃ変わらない、ほとんど違うスキルになるなんて何百年かかるのよ」
2回目!