47話!
僕が目を覚ましたのは宿のベッドの上だった。ネピアがそばで僕を見ていてくれたらしい。
「おはよう」
「おはよう……セルカは?」
「同じく寝てる」
「そっか……でももう大丈夫だと思う」
手を握った感触が残っている。もう大丈夫だと伝わってきた気がした。
「ところで僕はどれくらい寝てた?」
「丸一日くらい、今は次の日の昼前」
その程度で済んでよかったかもしれない。完全に魔力を使い切った状態だった。
「ここは……ヴァルツゴだよね?」
「うん、寝てる間、動かせなかった」
「まぁそうだよね……みんなは?」
「クレブリアとヴェールは別の部屋でセルカを見てる、ゴーディル達はもう帰った、ヨルセダが心配してたらしくて早く報告してやらないとって」
「僕たちも戻ってちゃんとお礼言わないと」
毎度毎度ヨルセダにはお世話になっている。何かお土産を持っていこう。
「ずっとは寝てられない……起きないと」
僕はベッドから立ち上がって、体を伸ばすストレッチをする。
「そういえば……晴天の雷鳴さ、改善しないとだね」
自分自身が振り回せてしまった気がする。それとも自分の鍛えが足らなかったのか。
「魔力の無駄があった、少しの魔力で最大限の効果を引き出す……改善していけば強くなる」
ネピアがグッと自分の胸の前で拳を握った。僕は嬉しくなって微笑む。
「ありがとね、ネピア」
「うん……ところでセルカの所へは?」
「あっうん、行きたい」
ネピアが頷くと部屋の外に出て、クレブリアとヴェールの泊まっていた部屋に行く。
「クレブリアの所に運んだ」
「あ……ネピアが運ぶって言ってたね」
特に何も言わずにネピアがノックをして、中に招き入れられた。中には椅子に座ったクレブリアとヴェールがいてベッドにはすでに目を覚ましてベッドに座っている。
「セルカ!」
「エルさん!」
僕が駆け寄るとセルカが両手を広げている。僕はそこにダイブする様にセルカに抱き着いた。
「本当によかった」
「もうエルさんに会えないかと思ってました……よかった」
しばらく僕たちが抱きしめ合ってるとクレブリアが「うほん」と咳払いをした。それを聞いた僕らは抱き合うのをやめる。
「ごめんごめん」
僕がそう言うとクレブリアが座るようにベッドを指示した。僕はセルカのとなりに座る。
「さぁ、セルカ、覚えてる事、分かる事を全部、話してもらうわよ」
1回目!