46話!
「なっ」
セルカが一瞬、悲鳴をあげるけど、すぐに表情が変わる。セルカの足元から大量のオーラ吹き出す。体を動かす事は出来なかったらしい。でもそのオーラは壁の様に圧力があり、突きが阻まれる。
『魔力が無くなりそう』
ネピアの声に僕は少し焦る。届かないのか。それでもセルカのオーラは少しずつ薄くなってきている。僕の方も霹靂が消えかかっている。
『最後の魔力で爆ぜさせる』
ネピアのその言葉と同時に先細りしていた霹靂が爆ぜた。
「ッ!」
セルカの声にならない悲鳴が聞こえてオーラの全面が開かれる。僕はその隙間から杖を押し込んでセルカに突きを食らわせた。
「きゃっ」
セルカは突きによって後ろに吹き飛ばされる。何回か転がって止まる。
「ハァハァハァ」
僕は息を整えながら構える。セルカが起き上がってくる可能性がある。でもしばらく待ってもセルカは倒れたままだった。僕はセルカに近づいていくと倒れたままセルカがこちらを見た。
「ゲホッ……強いですね、負けました」
「ほとんど……引き分けだよ」
僕は崩れ落ちる様にセルカの横に倒れた。
「もう動けない」
「奇遇ですね、私もです」
セルカがニコリと笑うとオーラが体を一瞬、覆って元の姿に戻った。僕の体も崩れる様に光が消えて元の姿に戻った。
「エルもセルカもすげぇな」
ゴーディルが覗き込むようにして僕たちの顔を見て言った。
「体が動かないから、ゴーディルに迷惑かけるよ、先に謝っとくね……ごめん」
「私も意識が飛びそうです、ご迷惑かけます」
「ははっ、しょうがねぇな、運んでやるよ、気を失ってもいいぜ」
ゴーディルが心底楽しそうにそう言うとネピアが姿を現してゴーディルと同じように僕らの顔を見る。
「セルカはネピアが運ぶ、男には触らせない」
「あぁ……助かります」
「ははっひでぇな」
ゴーディルがネピアにそう言っているとセルカが「ふふっ」と笑って、そのまま眠るように意識を失った。
「これで、セルカは目が覚めたら、もとに戻ってるのかな」
「大丈夫さ」
「大丈夫……もしもの時は賢者様の所に行けば、何とかしてくれると思う」
「あぁ、そうだね」
賢者はとてもすごい人だから何とかしてくれるだろう。知り合えてよかった。心強い味方が出来たと思う。僕は恵まれている。すごい人ばっかりが味方になってくれて。
僕は浮遊感を感じる。持ち上げられたらしい。ぼやけた視界にセルカが見えた。セルカも少し目が開いていて、微笑んで手を伸ばしてくる。僕はその手を全部の指を絡ませ恋人つなぎの様に握った。
2回目!