45話!
足下に魔法陣が浮かび上がり、不滅魔法兵が僕の身体を覆うように現れて、僕と不滅魔法兵は完全に同化する。
「上手くいった」
晴天の雷鳴は簡単に言ってしまえば不滅魔法兵というキグルミを着る魔法である。普通に魔力をまとうのでは実現できない高密度な魔力で身体を覆う事で身体能力が飛躍的に向上する。不滅魔法兵の鎧部分はシールドで作ってるから防御力も格段に上がる。まだまだ改善できる余地があるけどとりあえず完成だ。
ゴーディルがちょうど吹っ飛ばされたところに僕は駆けてセルカに攻撃しようとする。しかし。
「おっ!」
スピードが早すぎてセルカを通り過ぎてしまった。
「ふふっ、カッコイイですね、それ」
セルカが僕に微笑んで言う。
「でもコントロールが難しいみたいです」
そう言い終わると同時にセルカは剣に大きめのオーラをまとって振り上げる。
「敵は待ってくれませんよ、今日の私はエルさんにちょっと厳しめに行きますね」
セルカはそう言いながら剣を振り下ろす。僕は体勢を戻す暇もなくセルカの攻撃に晒された。地割れでもしたのかというほど地面がえぐれる。僕は攻撃が当たった瞬間、そのシーンを見ながら吹き飛ばされた。
「ヤバかった」
地面に叩き受けられた僕はすぐに起き上がる。自分でもビックリするぐらいダメージが無い。
「頑丈ですね」
嬉しそうにセルカが笑った。
「エル、大丈夫か?」
「うん、全然平気」
「ははっ、いいねぇ、その魔法はどれくらい持つ?」
「あと七割ぐらい残ってるよ」
「それまでに終わらさねぇとな……悔しいがその魔法と俺とでやっとセルカに太刀打ちできるくらいだぜ」
ゴーディルは全然悔しそうに見えない笑顔で言った。逆境で笑える人って凄いな。
「相談は終わりましたか?」
「待ってくれてたのかい、厳しいんじゃなかったのかい?」
くつくつと笑ったゴーディルが言うとセルカが驚いた顔で口を押さえる。
「忘れてました」
完全にセルカは余裕だった。ただ、今の油断のうちに押し切ってしまえば勝てるのも確かだ。
「おしゃべりはこのぐらいにして真面目に戦いましょうか」
セルカが微笑んで言う。まだ油断している。僕は杖を前に構えて全速力で走った。
『魔法陣展開、セーブスペル《霹靂》』
「刺突・晴天の霹靂!」
突きを霹靂が強化してくれる。全速力の分の突進力と霹靂の分の威力が重なる。かなりの威力だ。一瞬、僕に不安が過る。死んでしまわないか。
「エルさん、躊躇ってはいけませんよ」
今になって賢者の言葉がわかった。そう言ってたのか。
1回目!