44話!
「でもどうして攻撃してくるの? 正気を保っている様に見えるんだけど」
僕はセルカに問いかけた。目が虚ろというわけでも受け答えがおかしいわけでもない。いつも通りのセルカに見える。姿以外は。
「操られていますね……自分で言うのもなんですが、エルさんの成長のためにと言われたので、少し納得してしまったのもありますね」
普通に答えてくれた。操られているのを自覚してるらしい。
「あの方は心を誘導するのがうまいですよ、話を聞いてしまうと操られやすくなります、私みたいに」
「そうなんだ」
「不思議な感じだねぇ、裏切ったわけじゃねんだろ?」
ゴーディルがセルカに問いかける。セルカが微笑んで答えた。
「はい、仲間に戻りたいですよ……これが終わったら」
「なるほどね……じゃあさっさと終わらせちまうか」
「さすがゴーディルさん、話が早い」
「というか……どうなったら終わりなの?」
僕は構えを取っていた二人に始まる前に急いで聞いた。
「理想はエルさんに私が倒されたらみたいですね」
「俺が倒しちまってもいいのかい?」
「やむなしです……倒されたら消えるみたいです」
「そっか」
やるしかないらしい。僕は杖を構える。
『傷つけないようにするから』
「うん、お願い」
『新技も惜しまず使った方が、ネピアでもわかる、今のセルカはヤバイ』
僕もそれはわかっていた。威圧感というのかビリビリと空気が振動するような。
「誰もいかねぇなら俺がいくぜぇ」
そう言うとゴーディルが剣を振りかぶってセルカに向かっていく。セルカはニヤリと笑うとその攻撃を剣で受けた。それから数回お互いに攻撃して受けるというのを繰り返す。何度目かのそれでセルカは大きめのオーラをまとった剣で防御ごとゴーディルを吹き飛ばした。振り切った隙を狙って、僕は左からの横薙ぎの攻撃をセルカにくわえる。セルカはそれに反応して体を回転させながら後ろに飛びのき、遠心力で剣を横薙ぎに振って、全方位にオーラの剣撃を飛ばす。着地したところを攻撃しよう距離を詰めていたゴーディルに当たり、僕はシールドで防いだ。
「気分がいいですね……お二人を同時に相手して、戦えてますよ」
「こりゃまいったね、セルカの方は完全に余裕だぜ」
「そうだね、これは……新技を出すしかないかな」
「おう、出し惜しみはなしだぜ」
ゴーディルが剣を構えて言う。
「時間稼ぎはいるかい?」
「数秒……セーブスペルをつかうから」
ゴーディルが剣を前にしてセルカに突きを繰り出す。
「魔法陣展開、セーブスペル《晴天の雷鳴》」
2回目!