43話!
セルカのその言葉に呼応する様に白と黒のオーラのような物が足元から溢れ出てセルカを包んでしまった。
「セルカ!」
「何だあれ! スキルか……あの子あんなもん持ってたのかい?」
「いや持ってなかった」
僕はネピアを見る。
「ネピアも知らない」
セルカがオーラに包まれてたのはそんなに長い時間ではなく、すぐにオーラは消えて姿を現した。
「セル……カ?」
格好が変わっている。白と黒の布を重ね合わせた様なドレスにポニーテールをおろして、頭には少しズレたところに小さめの王冠が乗っている。持っていた剣も一回りほど大きくなって、刀身が黒、ツバの部分が白、柄が黒というカラーリングが少し変わっている。
「私は勝利した女王セルカ・エミュゼット、私を前にした時点で皆さんは手詰まりなのです」
セルカは笑顔でそう言った。見た目は変わってるけど中身は変わってないような。でも「あの方の為に」って操られている証拠か。
「魔法陣展開、サモンズスペル《アンデット・スケルトンナイト》エル、呆けてる場合じゃねぇぞ」
ゴーディルが魔法陣から出てきた剣を掴みながら言った。
「え? どうして」
僕が言い終わらないくらいにセルカは瞬間移動したのかというスピードで斬りかかってくる。斬った瞬間に白と黒のオーラが斬撃にのった。
「うわっ何するの?!」
僕は戦闘準備なんてしておらず尻餅をついて眺めるしかなかった。ネピアは後ろに飛び退き、ゴーディルは避けたけどすぐに攻撃を加える。セルカはそれをものともせず、受け止める。
「やっぱりスゴイです……こんな力が私の中に眠っていたなんて」
セルカが嬉しそうにそう言うと受けていたゴーディルの剣を振り払う様に横振りする。その横振りにさえ白と黒のオーラがのる。僕はそれに吹き飛ばされて後ろに飛んだ。
「エルさんも戦ってください、どっちが強いか試しましょう」
そう言いながらセルカは頭の上に剣を振りかぶりながら、さっきよりゆっくりと近づいてきて斬りかかってきた。僕が素早く立ち上がると左手でシールドを張ってセルカの攻撃を防いで、右手で近づいてきたネピアの杖を握る。
「いいですね、ここからが本番ですか」
ニヤリと笑ったセルカが左からのゴーディルの突きをくるりと体を回転させながら避けた。
「こりゃぁヤベェな、ビリビリ威圧感を感じるぜぇ」
くつくつと笑ってゴーディルが言った。
1回目!