39話!
朝、準備万端、整えた僕は宿の前に立っていた。昨日の夜新技は完成してセーブスペルに登録もした。これで一瞬で使える。
「リベンジ」
ネピアがガッツポーズとともにそう言った。
「そうだね」
「ゴーディルに先越されないように」
そういえばゴーディルもマントの男と再戦を望んでた。
「おう、俺がどうしたってぇ」
「あっゴーディル」
どこからともなくやってきたゴーディルに僕は軽く挨拶する。
「僕もマントの男と再戦したいんだ」
「ははっ、なるほどねぇ……面白くなってきたねぇ」
ひとしきりくつくつとゴーディルが笑うと僕の背中をバンと叩いた。
「まぁ……エルはヤツに構わずセルカを助けろよ……何においてもまずは守らねぇとならねぇもん守れよ」
僕の言葉を聞かずにゴーディルはやって来た仲間の所に声をかけに行ってしまった。
「守らないとならないもの……うん、そうだよね」
第一優先事項はセルカだ。たとえマントの男が目の前で立ちはだかろうとスルーしてセルカのもとへ駆けつける。
「おはようだぞ!」
「おはよう」
「あっおはよう」
クレブリアがヴェールを連れて少し眠そうにしながら宿から出てきた。
「どうしたの? 眠そうだけど」
「ちょっと考え事をね……まぁ今日の事だけど」
「あっありがとう」
「たいしたことじゃないわ……色んなパターンを想定してたの」
みんな今日にかけてきているのがわかる。手の届く所に来ているのをひしひしと感じる。少し緊張してきた。
「俺たちは集まったぜぇ」
ゴーディルが手を上げてそう言った。
「あれ? 人数が少なくないかしら」
「おう、半分は居残りで調査隊の仕事してる……すまねぇな、さすがに全員では来れなかった」
「いえ、いいのよ、問題ないわ……じゃあ全員揃ったわね」
「じゃあアタシは動き始めるぞ」
「お願いね」
クレブリアに頬を撫でられたヴェールはくすぐったそうに笑ってから出発していった。
「さぁじゃあゴーディル隊から二名ずつ各門に行ってくれるかしら」
「おう」
男たちが図太い声で返事をして、それぞれが各門に向かっていった。
「人数が意外と減ったわね……昨日確認し忘れたわ、気付かなかったし」
「マズイかい?」
ゴーディルが心配そうに聞くとクレブリアが首を横に振った。
「大丈夫よ、ちょっとそれぞれがさらに注意深く周りに気を配らないといけないだけ……ね? 全然マズくないでしょう?」
1回目!