36話!
僕の言葉にクレブリアがニッコリと微笑む。
「やる事決まったなら行こうだぞ」
ヴェールが急かすように言った。みんなが頷く。
「いま聞いてきた店にもう一度聞きに行くわよ」
「うん、わかった」
「わかったぞ!」
僕たちはすぐに今聞いてきた店を逆の順に入って、聞いていく。ほとんどが空振りだったけど、一個だけ何度も特徴を変えて来店している男がいるそうだ。女の子を連れている事もあれば、一人の時もある。どこに住んでいるかとか名前とかそういうのは全く聞いていないそうだ。でも僕たちは確かな手ごたえを感じていた。
「すごい、かなり近づいてきてるね!」
「この街にいるわ……ヤツがこの街を離れられる前に捕まえるわよ」
「さすがクレ姉だぞ!」
四人ともが興奮気味になっていた。もう手が届く所まで来ている。
「じゃあ他の店にも聞きに行きましょう……あれ?」
クレブリアがピクリと何かに反応した。顔をキョロキョロといろんな方向に向ける。
「どうしたの? まさかマントの男?」
「いや、違うわ……ちょっと遠いけどなんか聞こえる」
クレブリアの頭が、かぶってる布越しでもわかるくらいピコピコと動いている。どうしたんだろう。
「かすかだったし、一瞬でわからないけど、なんか聞き覚えが」
そう言ってクレブリアが歩き始める。
「行くの?」
「一応確認に行くわ」
方向は南門の方だ。レガルがある方角にみんなで向かう。しばらく歩いていくと団体の男たちがいるのが見える。それを見たクレブリアが小走りでその団体に向かっていく。心なしか嬉しそうだ。
「あれ? もしかして」
団体の先頭に立っているのはゴーディルだった。自給自足の可能性を探っていたのにもう終わったのだろうか。僕とヴェールとネピアも小走りで向かう。
「おう、簡単に会えたな、よかったぜぇ」
「早かったわね」
さっきまでちょっと嬉しそうだったのにいきなり素っ気ない感じでクレブリアが言った。でも服で隠れているけど尻尾は揺れていた。それを見てヴェールがニヤニヤしながらクレブリアのお尻をパンと叩く。
「きゃっ……なによ!」
「べっつにぃ」
ニヤニヤと笑うヴェールの頬をクレブリアが引っ張る。
「それで自給自足の件は何にもなくなの?」
僕がクレブリアとヴェールを放っておいてゴーディルに聞いた。
「おう、何にも成果なしだったぜ」
くつくつと笑いながらゴーディルが言う。それに反応したクレブリアが「無駄足悪かったわね」と呟いた。
「無駄足じゃねょ……大事な確認じゃねぇか」
心底楽しそうにクレブリアの頭をゴーディルがポンポンとした。
2回目!