10話!
みんなで夕食を食べた後、僕は部屋に戻ってきた。仲間が増えて楽しくて、つい長居して沢山食べてしまった。
「ふー」
ちょっとお腹が苦しい。椅子に腰かけて背もたれに、もたれ掛かる。
「騎士団かぁ」
クレブリアの提案に僕は正直ものすごい納得してしまった。騎士団を作ればセルカは騎士になれるし僕はここでの目標もできる。一石二鳥だ。作るには問題もあるけど。いきなり騎士団だけ作っても目的のない集団はただの烏合の衆だ。主が居なければそれもまた、騎士団と呼んでいいか微妙なところだ。
「先は長いって事だなぁ」
まずはどうすればいいのだろうか。
「それよりこの借宿生活を終わらせるところからか」
こんな場所で騎士団作るぞなんて言ったってしょうがない。まずは現状で頑張る事。いろいろ考えていたら僕はついフフッと笑いが込み上げてきた。
「いつの間にか夢中で生きてるな、もう立派な現地人」
女神様に感謝しないと。生きるのがこんなに楽しいなんて。街からまだほとんど遠くに行ってないのに世界は広くて楽しいと思える。目標もあって、仲間もあって、充実しているとはこの事となんだろう。
「ありがとう女神様」
僕は体の前で両手を組んでお祈りポーズをする。すると右手の指輪に手が触れて「そういえば」と思い出した。女神様に言われたことを。この指輪の事を自分で決めるのだ。
「決めるって言ってもな」
何をどうすればいいのやら。ちょっと妄想してみればいいのか。例えばピンチの時にこの指輪が光り出して、鎧と剣に変化して、最強の戦士に少しの間なれるとか。
「ないな……かっこいいけど、好みじゃない」
じゃあ杖か。カッコイイ杖になって、その杖はすごい力を秘めていて。
「こっちの方がっぽいな」
カッコイイ杖というとどういうのだろう。木より金属っぽいのが良いな。それに小型じゃなくて、身長に近いくらいの長さ。頭の方に宝石、キレイな球体のじゃなくて、あんまりキレイな形じゃない宝石。色は全体的に青っぽい感じ。それで宝石がついてるところがハルバードみたいな、槍みたいな風になってたらカッコイイ。
「意外と考え始めるといろいろ思いつくな、楽しい」
一緒に成長するならという事は、知能とかあるのかも。しゃべったりするような。一緒に考えて、苦難を共に乗り越えていくみたいな。
「ふあぁ、ちょっと眠くなってきた」
僕はベッドに移動して、寝っ転がる。仰向けになって右手を天井に向けて指輪を眺めた。
「まぁでもどんな道具でも大事にするから」
眠気が覆いかぶさってくる。浮遊感に身を任せ、目を閉じるとなんだか、閉じたまぶたに光の色が見える気が。
2回目!