34話!
僕達は夕食を済ませて、それぞれが明日の為に早く休もうと言う事になった。部屋につくと僕はネピアに声をかける。
「お金さ……ある程度渡そうか」
「今?」
「うん……今までの分全部とはいかないからある程度」
ネピアは少し困った表情をする。
「……次からでいい」
「でも実はネピアがいつかお金を必要とするかもと思って、少しずつだけど貯めてたんだよ」
ネピアが生まれてから依頼で得た報酬の一部を貯めていた。そんな大金にはなってないけどある程度は溜まっている。
「そう……なんだ、エルは困らない? ご飯食べれなくなったり」
「そこまで切り詰めて貯めたわけじゃないよ」
僕は思わずクスリと笑ってしまう。
「心配してたのに笑うなんて」
「ごめん、ごめん」
少しムッとした表情をネピアがした。
「まぁとにかく大丈夫、何回か大金を得る機会があって意外と溜まってるから」
ランクが下の方だとその日に必要な分くらいの額しか得られないけど、そのへん、僕は恵まれてた。
「じゃあ……貰う」
「うん」
僕は無限金庫から取り出した布製の袋に入ったお金をネピアに渡す。
「ありがとう」
「いえいえ、また落ち着いたら乗馬しておいで」
「うん」
ネピアは頷きながら微笑んだ。
「よし、少し新技の特訓したら寝よう」
「お金受け取ったから今日は裸で添い寝を」
「しなくていいから!」
「オプションもつけましょうか?」
「いらないから!」
なぜかネピアは残念そうにした。
朝、僕達は宿屋の前に集合した。
「全員揃ったわね……今日からこの街を隅々まで調査するわよ」
気合の入った様子でクレブリアが言う。賢者の占いではこの街で会えるらしいし、クレブリアの調査でこの街にいる可能性が高いともわかっている。期待は高い。
「ゴーディル達の方はどうだろうね」
「まだあっちが空振りと決まったわけじゃないわ」
「まぁ確かにね」
「でも早く合流してくれたら、人数も大幅に増えるし、助かるわね」
ヴェールがニヤリと笑ってクレブリアの顔を見る。
「何よ」
「本当にそんな理由で早く合流したいと思ってるか怪しいぞ」
「ひ、人手がほしいから早く合流したいのよ!」
僅かにクレブリアが動揺したように見えた。
「早く行くわよ!」
クレブリアは何かをごまかす様にそう言って歩き出す。
「恋する乙女?」
「ネピアうるさいわよ!」
僕もついついニヤリと笑ってしまいながらクレブリアのあとに続く。
2回目!