33話!
馬の返却が無事終わってヴァルツゴを僕達は少しウロウロしている。ヴェールも宿で部屋を確保して合流していた。
「あんまり違いってないんだね」
ドサバもレガルもセレンもここも建築の様式とか雰囲気とか全然変わらない。街ごとに特徴があったりするもんだと思ってた。
「違うってこれだけ近い街なんて変わらないわよ……街が変わるのは地域性によってだし」
「なるほど……寒かったりとか」
「そうそう、街の人の知恵が活かされた感じになるわよ」
雪の地域なら屋根の雪が滑り落ちる様に尖ってたり、そういう事だろう。
「ヴェールは他の街、行った事あるでしょ?」
唯一の他の街に行った事あるヴェールに僕は聞いてみる。
「あるぞ!」
「セレンとかと違う雰囲気の街ってあった?」
ヴェールは考える素振りをする。あまり思いつかないようで答えがない。
「それほど遠くから来てないからな、行った事ある街はみんな一緒だぞ」
「そっか……まぁそんなもんか」
「景観重視の街とかなら違うわよ、あと領主が街の真ん中に城建てて住んでるとことかあるらしいわ」
クレブリアがアゴに手をあてて思い出す様に言った。
「どっかでそういう話、聞いたの?」
「多分商人から聞いたと思うわ」
「クレブリアって商人との交流多いね、今回の情報収集もそうだし」
「そうね……色んな所に行ってるからね商人は、留まっている商人も情報通だけどね」
嬉しそうにクレブリアが微笑むと続けた。
「明日の朝からセルカを探すわけだけど、まずは商人に声かけるつもりだし、店を構える商人ね」
「商人か……有力な情報があればいいけど」
「生きている以上、物を買う事は避けられないわ、食べ物は特に」
自給自足の可能性をゴーディルが探ってるはずだけどそっちが外れていたら、食べ物を購入してるって事だ。賢者の占いの事もあるし、ここで本当に見つけられるかも。
「明日は全員で一緒に動く? バラバラに動く?」
「そこなのよね……一つの街だからみんなで歩いて色んな人の顔をよく確認しないとだし、でもバラバラの方が効率が良い」
「もしマントの男が歩いていて、僕達を見て反応があるかも、セルカも連れていたらさらに大きな反応するんじゃない? だから全員で目立った方が良さそうな気がする」
「あぁ……そうよね、じゃあ明日はみんなで動きましょうか」
ウンウンとクレブリアが頷きながら言った。
「よし、明日から頑張ろう」
1回目!