28話!
結論から言えば子供一人に馬を任せられないという事だった。だいぶ遠回しにその説明をされて、ヴェール以外は了承した。そしてヴェールはクレブリアに口をふさがれて文句を言えず、無理やり了承させられた。
「むー」
馬の借受けの手続きが無事終わって、馬小屋から職員が馬を連れてくるのを外で待っていた。しかし、ヴェールが頬に空気をいっぱいに入れて、膨らませている。
「ヴェールの馬に私も乗せてもらっていいかしら?」
クレブリアが微笑みながらそう言うとヴェールは少し驚いた表情をする。
「……いいぞ、乗っても」
「うん、ありがと」
ヴェールの両頬を両手で包むようにクレブリアがして、そう言った。
「どういたしましてだぞ!」
機嫌が直ったようでヴェールは笑顔で嬉しそうにした。
「お待たせしました」
三人の職員がそれぞれ馬を引いてやってくる。
「ではお願いします」
馬の手綱を僕達に預けると職員は戻っていった。
「すごい」
近くで見るとすごい大きい。
「でかいぞ!」
「馬」
ヴェールとネピアが興奮気味に言う。
「ふふっ、この子達は普通の馬より頭がいいから言葉を理解してくれるのよ、超初心者向け、どうしてもって時は言葉で指示すればいいわ」
「そうなんだ、簡単だね」
「でも、原則、馬術の方法に則ってあげて」
僕達三人はクレブリアの言葉に「はーい」と返事をする。
「でもわからないんだけど」
「教えるわよ」
呆れたようにクレブリアが言う。とりあえず北門の外まで行ってからという事で手綱を引いて僕達は北門の外へ向って出る。
「じゃあまずは……馬のお腹を両足のふくらはぎで押すと歩き始めるわ、あるき始めたら手綱をピンと張っておく」
僕はそれをイメージしてみる。
「ひと段階速さを上げるときは手綱を緩めて、ふくらはぎでもう一回お腹を押す」
「発進と同じだな」
「そうね……それで止まる時はピンと張ってる手綱に力を込める……引っ張るのとは少し違うわ……それでふくらはぎでお腹を押す」
なんかこんがらがりそうだ。僕は何度か反復して記憶に刻む。
「最後に左右に曲がるのは行きたい方の手綱を横にずらして、曲がりたい方向の足のふくらはぎでお腹を押す」
「なるほど……覚えた」
「この子達は頭がいいから少しぐらい違っててもどうしたいのか考えて動いてくれるから大丈夫よ……馬が嫌がる事しなかったら」
クレブリアが微笑んでそう言う。怖いけど聞いておかないといけないだろう。
「嫌がる事したらどうなるの?」
「振り落とされるわ」
ウィンクをしながらクレブリアが言った。
2回目!