25話!
いろいろ考えてそのまま寝てしまったらしく、僕は朝に目が覚めた。
「エルはすぐ寝るね」
「気をつけてはいるけどね……気づくと寝ちゃうんだ」
最近は諦めている。早めに寝て、朝に何かをする事が多くなった。
「さて、少し成果を試してみようかな」
昨日勉強したから少しは出来るようになっているはずだ。僕は立ち上がって軽く伸びをする。立ち上がったネピアから杖を受け取ると構える。ネピアが姿を消して言った。
『最初は軽く』
「うん、そうだね」
魔力を大量投入して暴走でもしたらどうにもならない。最初は魔力少なめ。
『どうするの?』
「最初は魔力で小さい人形を作るところから」
『わかった』
「じゃあ……魔法陣展開」
僕の言葉に呼応して足元に魔法陣が現れる。自分の前方に魔力を集めて。
「難しい」
アローの様な形なら簡単だけど、人形は途端に難しくなる。土偶みたいな簡単な人形にしようとしてるのにこれとは。先が思いやられる。
『簡略化してる上に第一段階……これが一番の難関?』
「ははは……そんなわけ無いじゃないか、もっと細かい人形に濃密度の魔力詰め込んで、さらに魔法で知能をデザインして植え付けて」
抜く工程もあるけどそれでも時間がかかる。泣けてくるほど精密な作業もある。
『暴走する?』
「しない、よく考えたらそこまで到達してない」
自惚れもいいとこだった。暴走するかもしれないってまだありえない。
「ひたすら練習だな」
集合の約束までまだ時間はあるし、もう少しやっておこう。
宿屋の一階に談話スペースに僕は降りてきた。まだ早い時間で人はあまりいない。
「まだクレブリアとヴェールは来てないみたい」
「うん」
空いている椅子にネピアと二人で腰掛けて二人を待つ。
「デザイン決まった?」
ネピアがポツリとそんな事を聞いてくる。
「デザイン?」
「不滅魔法兵の」
「あぁ」
なんとなく決まっている物はある。でも説明できるほど詳細に決まってない。
「まだ……かな、方向性としては西洋の鎧かな」
「……ネピアは新技完成したらいらない?」
「え? そんなこと無いよ! 君があっての僕なんだから」
「そう……よかった」
不安にさせてしまっていただろうか。最近そういうつもりじゃなかったけど遠ざける様な事をしてたから。
「ごめんね……ネピアには僕のパートナーでいてほしいけど、人間として生きてほしいんだ、誰かの道具じゃなくて、その上でパートナーでいてほしくてちょっと遠ざける様な事した……不安にさせたならごめんね」
1回目!