23話!
「何してたの?」
「ちょっと話し込んじゃってさ」
「何か喋ってたみたいだけど、賢者様の言葉だけなぜかうまく聞き取れなかったわ」
うるさかったのだろうか。それとも他の事をしていて集中してなかったのか。
「まぁいいわ、今日は宿で過ごして、明日の朝にレガルで昼近くまで情報収集、それからヴァルツゴよ」
「え? すぐにヴァルツゴへ行かないの?」
「バカ、すぐ行ったら行程通りじゃないわ、占いの結果通りにするなら予定を変えてはいけないわ、会えなくなったらどうするのよ、確実じゃないって言ってたでしょ、だから期待せずに探すの」
「そ……そっか」
そうだよね。占いが当たるならなおさらだ。行程通りに行けば会えるという事ならそれを変えるとすれ違う可能性がある。
「わかればいいのよ」
クレブリアが僕の肩をポンと叩いて言った。
「肩に力が入りすぎよ」
「うん……ごめん」
自分ではわからないけどだいぶ焦っているのか力が入っているのか。客観的に見るとそうなのかもしれない。マントの男がどう動くかわからないし、戦う事になったら冷静にならなければまた負けてしまう。
「さぁ今日は貰った本を読んで戦う時に備えなさい」
いつの間にか宿の前まで来ていた。僕たちは明日の朝の事を確認し合ってから、宿に入り自分の部屋に行く。部屋にはいつも通りネピアとだ。クレブリアはヴェールと。
「一人でもよかったのに」
僕はネピアに言った。部屋は空きがあったからネピア一人でどうかと勧めたら断られて、一緒の部屋になった。
「一人が良かった?」
「そういうわけじゃないよ」
「ネピアは一人だと暇を持て余す」
「はは……そう」
「だから魔法の練習に付き合う」
ほとんど無表情に近い微笑みでネピアが言った。
「ありがとう」
せっかく作ってくれた不滅魔法兵の本をさっそく読むことにする。
「新技はできたらセーブスペルに登録してすぐ使えるようにしたいと思ってて」
「登録するほど発動に時間かかる?」
「不滅魔法兵にいろいろ手をくわえて……改造するつもりだから、その辺はどうなるか」
「改造……できるの?」
僕は笑いながら「さぁ?」と言った。出来なきゃこの方法は諦める。でも魔法の構造的にはやれる可能性は高い様な気がする。とても根拠のない自信だけど、なぜかできるような気がする。賢者にも助けてもらえるだろうし。レガルだったらすぐ来れるから。
「さぁ読むね」
1回目!