22話!
僕たちは食事を終えて宿に帰る事になった。
「ありぎゃ……がとうございました」
賢者がへらぁと笑ってそう言う。僕たちも楽しかったからお礼を言うほどの事ではない。
「賢者様の話を聞けて楽しかったわ、勉強にもなった」
「こちらこそ、たのしかったです」
「そういえば……セルカが僕たちを探してるってどういう意味なの? マントの男から逃げ出したって事?」
「そのあたりはよくわかりません、逃げたのか、かいほふぉ……解放されたのか」
申し訳なさそうに賢者がそう言うとヴェールが遮るように言う。
「まぁいいんじゃないか、会えるんだろう? 細かい事を気にしちゃダメだぞ!」
「絶対にといいけ……言い切れませんが、会えるはずです」
「まぁ、エル、生きて会えるのよ、信じて行くのよ」
優しい微笑みを浮かべてクレブリアが僕の背中を優しく撫でる。そうだ、今まで何の手掛かりもなく雲をつかむような状態だったのが会える可能性があるなら喜んで進むだけ。
「うん……そうだね、ありがとう」
「いえ……今日はたのしかた……楽しかったです」
賢者がへらぁと笑う。
「またセルカを連れて来るよ、ゴーディルもかな?」
僕はクレブリアに視線を送る。
「なっ、なんで私を見てその名前が出てくるのよ!」
「クレ姉、顔赤いぞ」
ヴェールがニヤニヤと笑いながら言った。珍しくネピアも「顔赤い」と参戦する。
「うるさい! 帰るわよ! もぉ!」
クレブリアがそう言って宿の方に向かって歩いて行ってしまう。それにくっついてヴェールとネピアも歩き出していった。
「行っちゃうな、ありがとね、本当に」
「いえ、こちらこそ、楽しかったので」
「そういえば自己紹介してないけど……名前は教えてもらえないの?」
僕の言葉に賢者は申し訳なさそうに「すみません」と呟く。
「こちらこそ、無理強いするみたいでごめん」
「いえ……私こしょ……こそ変人ですみません」
「さてもう行くね……また来るから」
僕はクレブリア達の方を見ていう。それなりに距離が離れていた。僕が賢者に向かって手を振ると賢者も手を振り返してくれる。そしてクレブリア達の方へ走った。
「エルさん……躊躇ってはいけませんよ」
「え? なんか言った?」
賢者が何か言ったように聞こえて僕は振り返ってそう聞いた。
「いえ、なにも……言ってません」
賢者がへらぁと笑ってそう言った。僕はクレブリア達の所に走っていった。
2回目!