21話!
「ありがとう!」
僕は賢者から本を受け取る。それほど分厚くなかった。読むだけならすぐ読めてしまいそうだ。
「それにしてもクリエイトスペルって便利そうね」
「えぇ便利ですよ……いろいろ使えます」
「なんでも作れるの?」
「いえ、私の知ってる……じゅつちゃ……術者の知っている物ならだいたい」
僕達三人は一斉に驚きの声をあげる。唯一ネピアだけがつまらなそうに聞いていた。
「すごいなんてしょんな……そんな」
まんざらでもなさそうに賢者がヘラヘラと笑う。
「本当にこれなら……セルカの事も聞きたい」
「セルカ……さん、ですか? 仲間の方で? 連れ去られた」
僕はコクリと頷いた。それを見た賢者は優しく微笑む。
「いいでしゅ……ですよ、占いましょう」
よかった。これだけ断る理由もないけど、もし断られたらどうしようとヒヤヒヤした。
どこからか賢者は占いの道具らしき丸い透明な水晶を持ってくる。それを机の上に置いてジッと眺め始める。
「僕ってどうすれば」
「しゅきに……好きにしていてください」
僕の知っている占いは生年月日とか名前とか聞いてそこから占っていく物だ。でも賢者はそういうのもすっ飛ばして始めている。
「ふむふむふむ」
賢者がそう言って頷く。傍から見ると水晶は光ってないし、魔法陣も出ていない。魔力をまとっている様には見えない。
「占いって魔法じゃないんだ?」
僕はつい聞いてしまった。邪魔しちゃったかな。
「占いは占いですよ……もしかしたら私のユニークスキルかブラッドスキルなのかも」
にこりと賢者が笑う。
「さてなんとなく分かりました……セルカしゃん……さんはなんて言ったらいいか」
言いよどむ賢者が少し考える素振りをしてから言葉を続ける。
「皆さんは決めた行程通りに進んでいったほがぁ……ほうがいいでしょう」
「それってどういうことかしら?」
「セルカさんが皆さんをしゃがし……探していて、行程通りにすればヴァルツゴで会えるはずです」
「いろいろ話を聞きたいわ……本とセルカの事のお礼も兼ねてご飯でもごちそうさせてくれないかしら?」
「え! いいんですか」
「いいよいいよ、いろいろお世話になったし」
「エルのおごりか! やったぞ」
ヴェールが嬉しそうにネピアにまとわりついた。
「ネピアは別にどっちでも」
「まぁネピアも今日は食べよう」
「じゃあ行きましょうか……賢者様は準備は大丈夫?」
急いで水晶を片付けている賢者にクレブリアが問いかける。
「もういきゃ……いけます!」
1回目!