19話!
「なんて? 途中聞き取れない所があったわ」
「なんか聞こえてるのにわからない言葉というか」
ヴェールの言葉にクレブリアがハッとした表情をする。
「違う言語ね、この国の言語じゃないわ」
クレブリアの言葉に僕もハッとする。僕は、はっきり聞き取れたけど、言葉が違うんだ。だからみんなは聞き取れない、理解できない。賢者は日本語で「日本」と「ガン」と言った。僕はこの国の言葉で生きているけど、日本語も喋れるし聞き取れる。記憶があるおかげかもしれないけど。つまり、僕だけがわかる暗号で僕の秘密を言った。賢者は本当に占いでいろいろな事がわかるらしい。
「クレブリア、賢者は信用できる、占いもいろいろな事がわかるらしい」
「え? 今のがエルの秘密かしら? 全く意味がわからないわ」
「秘密を暴いてやろうと思ったのにぃ」
クレブリアとヴェールが残念そうに言った。
「僕の秘密をそっとしておいてよ」
「エルの秘密はたいしたことない」
ネピアがそう言うとクレブリアとヴェールが「ネピアは知ってるの、ずるい」と文句を言い始める。三人でワイワイしているのを僕は少し笑ってしまいながら見た。
「すすすすみません、ひみゃ……秘密を見てしまって」
「もういいよ」
「でもどうして、隠すんですか? ただのぜんしぇ……前世の記憶があるってだけでしょ?」
「いや、もうちょっと複雑」
賢者が不思議そうな顔をする。女神様と会ってたところは見えなかったのだろうか。
「まぁいろいろあるのでしょう」
ふぅと賢者が一度息を吐くと仕切りなおすように声をあげた。
「疑いは晴れたので店じまいの準備をしていいですか?」
「あっいいわよ、申し訳ないわね、疑って」
賢者は「いや」と返事をすると、店の入り口まで行って、ドアに看板のような何かをかけてドアを施錠した。それから僕たちの方に振り向くと口を開く。
「さてじゃあ、奥に入っておちちゅ……落ち着いて話しましょう」
僕たちは賢者に促され後ろについて店の奥にある部屋へと入っていた。部屋には机とイスが複数個、置かれている。そこに座るように促されて僕たちは腰かけた。
「ふぅ」
賢者が最後に座り、深呼吸する前に一息ついた。
「さてエル、ふへつ……不滅魔法兵の事でしたね」
「うん! そう、できたら使い方を教えてほしいんだけど、知ってる?」
「はい、知ってますよ、使い方もちゃんと」
自分の胸に拳をドンとぶつけ、賢者がそう言った。
1回目!